PROFILE
福岡大学商学部卒。「感動で満ちあふれる日本を創ってゆく。」をコーポレートビジョンに、感動を偶発的でなく必然的に再現させる手法で成長著しいベンチャー企業を1997年に設立。韓国にも法人設立。現在株式会社ポジティブドリームパーソンズ代表取締役社長。
※肩書はインタビュー当時のものです
「日本のビジネスが危ない」。海外進出を機に感じた、強い危機感。
MBA取得を考え始めたきっかけや動機は何でしょうか?
株式会社ポジティブドリームパーソンズは、レストランウェディングのプロデュース事業を創業事業として1997年に私が設立した会社です。現在は「感動創出企業」として事業領域を拡大し、BtoBに対するコンサルティング事業にも力を入れています。
MBA取得を考え始めたきっかけは創業から10年目、会社が海外進出に向けて動き出した頃のことです。当時、私は上海のある企業と業務提携に関する商談を進めていたのですが、私よりも若い経営者が持つビジネスノウハウの豊富さと、交渉スキルの高さに驚きました。
聞けば、中国では国が支援して海外のMBA取得を奨励しているとのこと。「このままでは、日本のビジネスは危ない」と、強い危機感を抱くようになったのです。
海外への進出を具現化し、世界に通用する組織を作るためにも、私みずから学ばなければならないと思いました。そして、将来を見据えて自社内に「学び」のカルチャーを作りたいと思いました。その時に、まず思い出したのが、20代の頃から交流があった堀さんが創られた、グロービスでした。
決め手となったのは教員と学生の質、そして授業の実践性。
なぜグロービスのMBAを選択されたのでしょうか?
グロービスに通うことは、ほぼ決めていました。ただ、時間を割いて通うわけですから、自分が求める成長が得られるかどうかは確認しました。決め手となったのは、まず教員や学生の質が高いこと。そして、インタラクティブな授業スタイルです。私はもともとアカデミックな学びは求めておらず、実在する企業が実際に用いた戦略や、その成功例、失敗例よりも、その背後にある経営者の苦悩や意思決定に至るプロセスを肌でつかみとりたいと考えていました。
加えて、グロービスの教育理念でもある「能力開発」「人的ネットワークの構築」「志の醸成」という3つのキーワードにとても共感をしたことです。経営者に必要な要素として、私は「心・技・体」の3つを挙げています。グロービスには知力(技)を求めて入学を決めたわけですが、知力だけを高めることが良き経営者の条件だとは考えていませんでした。知力に加え、日頃から人間的な魅力を高め(心)、健康に配慮する(体)ことで初めて、経営者の想いは実現できると考えています。単なるスキルアップに終始しないグロービスの姿勢に、強い共感を覚えたことを今でもよく覚えています。
さまざまな考え方や見方に出会うことで、自分の視野が果てしなく広がっていく。
グロービスで学ぶ魅力は何でしょうか?
最も魅力的だと感じているのは、グロービスの教育理念の中でも「志の醸成」の部分ですね。なぜ学ぶのか、自分は何を為すべき人間で、今足りないものは何か、を常に問い続け、人生の棚卸しをする機会がグロービスには豊富にあります。
また、入学後に改めて実感した魅力が2つあります。1つめは、ケースメソッドという学習法。ケースには、企業の紹介、業界動向、財務会計データなどの情報だけが記されており、それらを元に議論します。教員は「自分が経営者ならどうするか」を常に問い、「本当に実行できるのか」「他に足りない要素はないのか」と質問を重ねてきます。この授業スタイルに強い衝撃を受けるとともに、まさに自分が求めていた学びに出会ったと喜びを感じました。
私は誰かのドラマを観たいのではなく、もしも自分ならどうするかをとことん考えたかったのです。また、たとえば自分はAという経営上のオプションを選択したとしても、他の学生はBやCという選択をするわけです。他者の意見に触れることで自分の価値観が広がっていくのは、たまらない快感でした。
2つめは、教員の質。実務経験豊富な教員が、理論を用いて課題とどう戦い、どうやって成功をつかみ取ったか。もしくは失敗から何を学び得たか。私が学びたかったのは、アカデミックな理論の背景よりもこうした現場の生声でした。正解は1つではなく、さまざまな選択肢があり得るということを議論を通じて、教員が身を持って伝えてくれる。これは、本当に得難い経験だと思います。
「あすか会議」や「クラブ活動」、フレキシブルに広がる学びの場。
グロービスでは、勉強会、懇親会はもちろんですが、クラブ活動やディスカッションボードなど、授業以外にも学びの場が豊富にあります。中でも特に多くの学びを得られるのが、年に1度のイベント「あすか会議」。このイベントは、私にとって大切な棚卸しの場となっています。著名な経営者、政治家などを招いてカンファレンスを行うのですが、たとえば去年は強く響いたテーマでも、今年はさほど響かないということもあり、1年前の自分との感度の違いを知る、貴重な機会となっています。
そして、1泊2日の合宿というスタイルをとるため、普段より自由度の高いコミュニケーションができる。ビジネスという枠を超え、「日本」そして「世界」という大きなくくりでディスカッションができることが魅力ですね。また、東京校だけでなく、他キャンパスの学生や卒業生ともお会いできる「あすか会議」は、自分の志と人的ネットワークを広げる、素晴らしいイベントだと思います。
課題を構造的に捉えてから、問題箇所を特定するように。
卒業後、仕事に対する姿勢や進め方に関して何か変化はありましたか?
私は既に起業家として会社経営をする立場でMBAを学んだわけですが、在学時に「経営を構造的に捉え、その中で今はどこが問題なのか?」を特定する力をさらに強化する必要があると考えました。よって授業で扱うケース(企業事例)の取り組みにおいても与えられた課題を解くだけでなく、このケースの経営課題を俯瞰して構造的に捉え、「自分がケースの主人公だったら、実際どういう経営判断をするか?」を問うことを習慣化し続けたのです。その結果、卒業した今では、「目の前にある課題」にいきなり向き合って解決するのではなく、常に「そもそもその課題の全体像や背景はどうなっているのか?」を自らに問いかけ、構造的に物事を捉えることができるようになり、打ち手をスムーズに考え出せるようになったと同時に、社員とのコミュニケーションも非常に円滑になったと感じています。
突破できない壁にぶち当たったときに力となるのは自らの「志」。
グロービスへの出願を考えている皆さんにメッセージをお願いします。
ビジネスパーソンを続ける限り、「自分は何を為すべき人間なのか」を問うタイミングが必ず来るでしょう。グロービスで学ぶことで、その答えをいち早く見つけたり、定期的に棚卸しを行い見直す機会を得たりすることができると思います。どうしても突破できない壁にぶち当たったときに、最後に力になってくれるのは自らの「志」です。乗り越えられそうにない壁に直面している人にはぜひ、グロービスの門を叩いてほしいですね。グロービスを活用して、1人でも多くの方に次のステージに進んでいただきたいと思います。
ビジネスパーソンとしての成長とは、知力を高めるだけでなく、自分の人生の目的を明確にして「人間力」を高めることだと、私は考えています。グロービスで能力を開発し、人的ネットワークを構築し、志を醸成することで、より魅力的な人間に成長し、あらゆる課題を解決できる力が身につくと私は信じています。