【卒業後~MBAを終えて~】変革の真っ只中 ~MBA後の奮闘記
皆さん、こんにちは。
大阪校に2006年に入学し、2009年に卒業した三橋章男です。
私は電機メーカーに勤務しております。
グロービス卒業から2年間、まだ短い期間ですが、色々なことがありましたので、
仕事面を中心に、近況を報告したいと思います。
グロービスを卒業してすぐ、新任の本部長に呼ばれ、
「MBAを取得したのなら、それまで所属していた研究所よりも、
事業に近い部署の方がMBAの力を発揮できるのでは?」
ということで、同じ本部内で、金型や成形の事業をしている
とある部署(以下、「センター」と記載します)に異動することになりました。
ここには、開・製・販が揃っており、私は、センター長のもとにたった一人
の戦略企画メンバーとして配属されることになりました。
100人ほどの小さなセンターです。
ここでの私のミッションは、
1)ここ10年来の慢性的な赤字体質から抜け出せるよう戦略立案すること
2)新たな事業・ビジネスモデルを創出すること
3)センターの活動をよりグローバルに展開すること
です。
グロービスで旧友たちと学んだ多くのケースが思い起こされ、上記の活動に
ことごとく活用してきました。
ただ、いきなり事業再生という、難易度の高い取組みをせねばならず、
何度もSRO(ストラテジック・リオーガニゼーション)のケースを復習しました。
SROのグループワークで足を引っ張っていた私は、もっと勉強しておけば
よかったと後悔しております・・・。
■1)赤字体質からの脱却
センターの経営状況は、90年以降、売上高が減少し、今ではピークの1/3、
10年前からの赤字体質で、解体寸前の状況でした。ただ、センターは赤字でも
金型に関する技術で全社の経営に役立っているとの認識で、大きなメスが
入らずにこの状態が続いてきました。
赤字をなくすための活動は、商品の価格下落に伴う生産コストの削減(毎年20%!)。
競争相手である、中国からの低コストで高レベルな金型・成形技術の提供のため、
非常に苦戦しています。
コスト構造の"見える"化、赤字プロジェクトの撤退、原価の再構築、生産性の
向上等の手を打ってきました。なかでも、コスト構造の見える化が難しく、
一人が複数のプロジェクトを掛け持ちするので、プロジェクト毎に把握する
ことができず、本質的な課題の解決が出来ているか心配です。こちらは継続して
取組みを強化せねばなりません。
とはいえ、改善の兆しも少し見えてきており、昨年度下期は10年ぶりに、
黒字に転換することができました。今年度も黒字の事業計画でスタートしています。
■2)新規事業・ビジネスモデルの構築
私が配属されるまでの自部署は、自分たちの金型技術が適用出来る商品
(デジカメ、携帯電話、ムービー等)を選んで活動をしており、その商品の
市場規模や成長性、全社の事業戦略などはほとんど考慮出来ていませんでした。
あくまでも金型技術に固執しており、商品が売れなくなると共に仕事がなく
なっていく、という状況でした。
そこで私は、商品・事業のポートフォリオを描き、どの商品を対象にするのか、
全社視点で重点を置くべき商品は何なのか、そのためにどのような技術が
必要で、それをどのように構築するのか、我々の保有する技術(強み)は?
ということを毎日考え続け、それまで手をつけていなかった商品にターゲット
を変更することを提案しました。
当時のセンター長からは大反対され、色々な人から、「おまえは部署をつぶしに
来たのか」とか、「何も分からないくせに」とか、非難の声を聞き、辛い日々
でしたが、定期的に本部長に報告をして賛同を得られたことと、一緒に再生を
推進しているセンターの次長に当る人が盾になってくれたので、なんとか
乗り越えてきました。また、新たなセンター長が配属になったこともあり、変革が
実行しやすくなりました。
昨年度は、その商品から売上高の25%を得ることができました。
今年は50%を得る計画で、センターの事業の柱として注力しています。
新ビジネスモデルについても従来の金型売り切りビジネスから転換し、消耗品や
サービスビジネス、ロイヤリティビジネスを提案し、今年度から収入が入ります。
こちらについては、また機会があれば報告します。
■3)グローバル展開の加速
成長する市場が中国・東南アジア・インドに移行することや、低コスト調達・
生産・流通を実現するため、モノづくり現場がどんどん海外にシフトしています。
金型や成形も日本拠点からの受注はどんどん減り、海外でのニーズが中心に
なってきています。
そこで私のセンターでは、海外の生産拠点を金型・成形という面で強化すべく、
東南アジアに第二の拠点を設立することにしました。私が事務局となり、経理・
法務・知財・人事・情報システム部門を巻き込み、半年に渡って、検討会を重ね、
2011年4月から稼働させました。
こちらも、反対勢力をどう抑えるか、関係者への説明や進捗報告などに気を遣い
ながら、賛同者を増やしていくことを心掛けて進めてきました。
この拠点では、海外製造拠点の製造人材の育成、高精度金型の製造を行います。
研究開発・設計・試作は日本で、調達・製造・流通は海外で、しかもそれぞれが
最適な国でという、私が構想している社内国際分業により、バリューチェーンを
構築し、皆がハッピーになるよう進めていきます。
今年は、この拠点を軌道に乗せるべく、私は日本からのコントロールタワーとして
活動します。
グロービスでクラスメイトとともに学んだ内容は、単に本を読んで得たものでは
なく、経営実体験として身に付いた感があります。時々、日常業務で、これは
ケースなのではないかと、区別がつかなくなる時があります。それぐらい、
グロービスのケースは実践的なものが使用されていたと思います。
変革の時のメンバーの反応、チェンジエージェントが受ける非難の言葉など、
グロービスで学んでいたので、一喜一憂することなく、対応が出来ました。
入学の機会を与えて頂いて、多くの方々と共に勉強できたことを今も感謝しています。
最後に、グロービスで取り組んだ研究プロジェクトの内容を深堀りし、
昨年度は学会で2回発表しました。今年も9月の国際学会で発表します。
現在は技術経営の博士号取得を目指して、頑張っております。
MBAとMOTを武器に、世界の人々に支持される会社にしていきたいと
強く思っております。今後ともよろしくお願いします。
長文にお付き合い頂き、有難うございました。