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|シリーズ2|MBAは農業を変えられるか?

【番外編】大連・上海を旅して~第2部:上海編~

中国滞在3日目の17日土曜日。
大連空港発8時10分の飛行機に搭乗し一路上海へ。
中国国内移動でもパスポートチェックは厳重だ。

2時間後の10時過ぎ、飛行機は無事上海浦東空港へ到着。
2年半ぶりの上海である。

上海でのメインイベントはフィナンシャルタイムズによる
世界のMBAランクでアジアNO.1ビジネススクールとなった
CEIBS(China Europe International Business School)中欧国際工商学院への訪問である。

個人的には2度目の訪問だ。

前回訪問の際には、
彼らとのコミュニケーションが英語という条件の中、
まったく話せなかった苦い思い出がある。

今回は拙い英語ではあるが、少しでもコミュニケーションを実践し
彼らとの交流を深めたいと思っている。

また、CEIBSで学ぶ彼らが何を考え、何を実践しようとしているのか。
彼らは今の中国を、世界をそして日本をどのように見ているのか等々
知りたい事が山ほどあった。

空港を出た我々が目にしたのは、
すっかりきれいに整備された高速道路や鉄道。
そして近代的なビルが立ち並ぶ街並みであった。

2年半前に訪れた時は、これらの社会インフラがまさに建築中で、
昨日まで居た大連のように、至る所でビルの建設ラッシュ。
そのせいか、当時は空気もよどんでいたように思う。

しかし今回は万博が直前に迫っているという事もあり
建築中の構造物は少なく、その為空気も以前よりは澄んでいるように感じた。

また、当時はあった低所得者層が住む一部のエリアもなくなっており、
きれいな街並みに変貌していた。

思いのほか交通ルールも守られているようで、
赤信号を平気で無視する車や人や自転車は
2年半前に比べると減っているような気がした。

これも万博を前にした啓蒙活動の成果だと
地元のガイドさんも話していた。

当然ながら上海市内はどこも万博一色。

観光地だけに限らず、公共の場、民間施設、テレビ、ラジオ、
様々な媒体を通じて万博をPR。

5年前の愛知万博を経験した私にとって、
この光景は少し懐かしい思いがした。

ただ、前日の大連では万博についてはあまり報じられておらず、
地元の人もほとんど興味を示していない様子。
中国における万博経済効果は、一部地域の限定的なもので終わる
可能性もあるなと感じた。

さて、我々が向かうCEIBSは漢字で書くと「中欧国際工商学院」である。

中国のビジネススクールなのになぜ「欧」の文字が???。

実はCEIBSは1994年に中国政府とEU(ヨーロッパ連合)の合弁事業として産声をあげた。

中国経済の成長を見込んだEU が中国政府と手を組んで
一流のビジネススクールを作るという国際プロジェクト。

欧州シンパの経済人を育成して中国経済の中枢に送り込もうという
壮大な戦略が透けて見える。

バイエル、ミシュラン、フィリップスといった欧州系の大企業や、
宝山鋼鉄などがスポンサー企業として学生の実務研修を受け入れているという。

学生数は1学年190名。

18ヶ月のフルタイムMBAとエグゼクティブMBAの二つのコースがある。

言語はもちろん英語で、学生は中国大陸出身者が62%。38%が外国人。
外国人の割合は香港・台湾・マカオが6%、アジア・パシフィック13%、
ヨーロッパ13%、アメリカ6%である。平均年齢は29歳。
女性比率も32%と比較的高い。
ちなみに日本人は毎年1~2名程度入学しているそうだ。

約束の15時を少し過ぎて我々はCEIBSに到着。
我々を迎えてくれたのは教務関連の責任者であるドイツ人のクラウディア女史。
再会を喜び、握手をかわす。
前回の訪問に比べ彼女の表情も穏やかで自然な笑みがこぼれていた。
実はCEIBSとグロービスの交流はこれが3度目。

2007年に我々が訪問したのをきっかけに、
昨年CEIBSの学生約30名がグロービス東京校を訪問。

そして今回、我々の訪問。
学生主体での草の根交流が継続している。
実に素晴らしい事だと思う。

我々は敷地内を一通り案内された後、CEIBS学生との
ディスカッション会場になっている講義室に入った。

まずは、クラウディア女史からCEIBSについての説明と
中国市場の魅力と今後の課題についてのプレゼンから始まった。

特に中国市場の課題については大変興味深い分析となっていたので、
少し紹介したい。
(ちなみにプレゼンは全て英語。スライドももちろん英語。
前回は通訳ありだったが、今回は通訳無し。必死で聞き耳を立てて聞き取った。)

現在、中国が直面している課題を3つに絞っていた。
雇用と環境と陸上輸送である

雇用:
毎年600万人が大学を卒業するが全員が職に就けるわけではない。
市場が求めているのは経験豊富なマネージャー、熟練した技術者等の即戦力。
中国の教育システムそのものが雇用市場にマッチしていないのが
問題の本質と結論付けていた。

環境
中国は世界で最も汚染されている都市ランクで上位10都市中6都市を占めている。
これは急激な都市開発と経済発展が主因ではあるものの、
規制を守ろうとしない風土や資源の無駄遣いも見逃せない。
また慢性的な水不足も深刻な課題である。
その解決策として海水の脱塩化技術開発を推し進めている。

陸上輸送:
アメリカと比較すると高速道路網が貧弱。
アメリカのそれは420万kmにも達するが中国はまだ、35万km程度である。

これ以外にも高齢化、医療保険問題、内陸部の開発等、
今後起こりうる課題についても鋭く指摘していた。

クラウディア女史のプレゼンが終了する頃を見計らって、CEIBSの学生達が入室。
中国、インド、シンガポール等国籍は多彩だ。

今度は彼らに対し、我がグロービスの田久保講師が流暢な英語でグロービスの紹介を行った。

彼らにとってはグロービスがベンチャー企業として
大学院を作り上げるまでに至った事が興味深かったようで、
質問もその点に集約された。

お互いに質問と回答を 繰り返すといった感じでディスカッションは進んだ。
その中で興味深い一幕があった。

「なぜCEIBSを選んだのか?」
「なぜグロービスを選んだのか?」
というそれぞれの質問に対し、

CEIBSの学生はほとんどが、
自分のキャリアアップ、
中国でビジネスをする為に有利、
欧米系企業への就職に有利といった理由であったが、

我々グロービスの学生はほとんどが
「グロービスはこういうところがいいんだ!」
と自分の事よりもグロービスについて熱く語っていた。

CEIBSの学生からは、「あなた方はグロービスの職員ですか?」
と笑って質問されるほどだった。

徐々に硬い雰囲気が和んできた所で、場所を変え懇親会に移った。

懇親会の場所はCEIBS内にある学生食堂だが、これが立派。
グロービスもこれだけは敵わなかった(笑)。

丸テーブル3つにCEIBSの学生と我々が共に座り食事をしながら
様々な話題についてお互いの意見を交換する。

もちろん我々は全員が流暢な英語をしゃべれるわけではないが、
それでも身振り手振りで必死にコミュニケーションを図っていた。
いくつか、面白い話しが聞けたので紹介する。

中国の水不足について:(インド人学生との話)中国は慢性的に水不足。

一方、日本の水資源は豊か。
中国で日本の水を売れば大きなビジネスになると思う。

ただ、現時点では日本側にどのような規制があるのか研究中。

規制について何か知っている事はないか?
と質問されるも明確に答える事ができなかった。

最初はミネラルオォーターの販売をイメージしていたが、
よく聞いてみると
石油タンカーのような船に日本から水を積んで中国に運ぶ事を想定しての質問。
考えるスケールがでかい。

経済成長に対する国策について:(中国人学生との話)

国策による大連での建設ラッシュ。
上海万博に合わせた強制的な土地開発等、政府の経済政策、
国策の意思決定のスピードが速いように感じた。

この点について質問すると、毎年600万人の学生が卒業し職を求める。
経済を成長させ雇用を確保しなければ、現在4%の失業率は毎年上がっていく。

その為には経済成長を国策で支援するしかない。
他に選択肢がないからそうしているだけではないかとのこと。

前回の訪問でも感じたのだが、
グローバルな場面で質問されるような事に対して

彼らは必ず明確な自分自身の考えを持ち、
それを我々でもわかるような
やさしい英語でしゃべる事ができる。

それは単に時事問題に精通しているというだけでなく、
歴史やその国ごとの文化についても深い見識と洞察があるように感じられた。

今回詳しくは記さなかったが2日目に訪れた旅順、203高地では改めて、
自国の歴史について自らの見識の薄さを思い知らされた。
まだまだ学ぶべきことはたくさんある。

懇親会は予想以上に盛り上がった。
折角の盛り上がりを一時の事にならないよう本日参加のメンバー同士で
メーリングリストを作成し引き続き情報交換をしていく事になった。

前回の交流からさらに一歩前進である。
全員で記念写真をとり、お互い硬い握手を交わし2年半ぶりのCEIBSを後にした。
これで、今回の目的は全て終了。
あっという間の3日間であった。

自分なりの目的はなんとか達成できたように思う。
点数をつけるとすると70点ぐらい。
後の30点は英語力不足な点かな。再トライ!

CEIBSでの熱い語らいに興奮を抑えきれない我々は、
ホテルにチェックインした後、反省会も兼ね、夜の上海に消えていった。

番外編終わり

【番外編】大連・上海を旅して~第1部:大連編~

ブログも3回目に突入した。

ブログのテーマは「農業」であるが、今回は内容を変更し、
先般、
グロービス東京・名古屋・大阪の有志約30名と共に
大連、上海を訪れた時の感想を2部構成で書いてみたいと思う。

まずは第1部:大連編

4月15日水曜日。
3泊4日の予定で、成田を飛び立った我々は現地時間の正午過ぎ、
中国の大連空港に降り立った。
時差はマイナス1時間。
緯度が東京に比べ高い為、気温はやや低いが天気は晴れ。
旅の始まりとしては程よい「お日柄」である。

大連市は人口約500万人。
瀋陽と並ぶ中国東北地区の中心都市で、旧満州国の時代に日本人が
多く移り住んだ事から、日本語を解する人も多く比較的親日的な町である。

地元出身のガイドさんの話によると、中国東北地方の人々は
ビジネスをする上で「信頼関係」を重視するそうだ。
「儲け」はその次。
日本人の国民性に似ている所があるという。

ガイドさん曰く
「日本人は、中国人の多くが、金儲け主義、個人主義、
人を信頼しない等々という見方をしているが、少なくとも
中国東北地区の人はそういう傾向は少ない。」との事。

なるほど。確かにあれだけ広大な国土を持つ中国。
それぞれの地域で歴史的な背景も異なる。
当然ながら人間性に違いが出るのも至って自然 。

中国人をひとくくりでステレオタイプ的に見る事がいかに意味を
成さないかという良い教訓であった。

ふと、バスの車窓から外を眺める。
車窓から見える大連の町は、昔の中国的な面影は少なく、
とにかくビルやマンションの建設ラッシュ。
市内中心部だけでなく、郊外にもビル、ビル、ビル。
マンション、マンション、マンション。である。

大連では5年後の人口を2倍の1000万にする計画が国策として
動いているらしくそれを当て込み、国内外から旺盛な投資を呼び込んでいる。

日本が1970年代に経験した都市化が北京、上海だけにとどまらず
中国の各都市で起こっている。

良いか悪いかは別として、旺盛な中国経済を下支えしている国策の存在は、
物質的豊かさを目指す中国人のモチベーションを維持する上で必要不可欠な
存在となっているようだ。

 さて、我々の今回の旅の目的は大きく3つある。

1、現地(大連)企業を訪問し中国におけるビジネスの実体を探る。

2、日露戦争最大の激戦地203高地を訪れ、自分自身の歴史観を作り上げる一助とする。

3、アジアNO.1ビジネススクールと言われる上海のCEIBSを訪れ、ビジネス、文化、
    キャリア等のテーマについてのディスカッションにて、学生どうしの交流を深める。

まず、現地の企業として我々が訪れたのは、
大連にある「Neusoft」というソフトウェア企業と「大連マブチモーター」の二社である。

このうち「Neusoft」についてとても興味深い話が聞けたので書いてみたい。

「Neusoft」(ニューソフトと呼ぶ)は1988年中国東北大学(NEU)の3人の教授が
研究費用3万元、286コンピュータ3台で
「コンピュータ・ネットワークエンジニアリング研究室(計算機網絡工程研究室)」
を開設したのが始まり。

1991年、日本のアルパインとの間で産学共同合弁企業として設立された。
1996年には中国初上場のソフトウェア会社になる。

その後、電信、電力、交通、社会保険等国家的なインフラを支えるITソリューションの開発、
海外企業の開発部門のアウトソーシング請負事業で順調に成長し、
2010年時点で年間売上約550億円、従業員数約16,000人、中国に地域本部8か所、
ソフトウェア開発・技術サポートセンター16か所、ソフトウェア研究開発5か所を設立し、
40余りの都市に販売・サービス網を構築している。

さらに大連、南海、成都、瀋陽に「Neusoft情報学院」3校、
「バイオ医学・情報エンジニアリング学院」1校を設けている。

つまり企業が大学を併設しているわけである。

我々一行は、まず大連郊外にある「Neusoft情報学院」を訪れた。

ここは、「Neusoft大連開発基地」内にあり、
その広大な敷地内には「Neusoft」の研究開発部門だけでなく
協力関係にある米国のHPや日本のアルパインのR&Dセンターも入居している。

この「Neusoft情報学院」正式には「大連東軟信息学院」には中国各地から
IT技術の習得を目指す優秀な若者が集まり、日夜勉学に励んでいる。

我々が案内された図書館では、数100名の学生が黙々と勉学に励んでいた。
おしゃべりはおろか物音ひとつ立たない。
我々のシャッターを切る音だけが静寂の中でこだましていた。

彼らの中で優秀な学生は、そのまま「Neusoft」に入社でき、
充実した環境の中で仕事に打ち込む事ができる。
もちろん待遇面も悪くない。
彼らがその競争を勝ち抜くために必死に学んでいる姿から、
いかに「Neusoft」が魅力的な企業なのかが伝わってきた。

続いて、我々は「Neusoft」社の本社に案内された。
本社は大学とは別の敷地の「Neusoft大連ソフトパーク」内にあり、バスで15分ほど移動。
ここの敷地も広大で、山の斜面を切り開いて造られている。

東京ドーム何個分だろう?とにかく広い。
ここの入り口では、さながらアメリカのMicrosoft社をイメージさせる「Neusoft」の
白い大きな看板が我々を見降ろしていた。

本社玄関に到着すると我々を迎えてくれたのは副社長の徐氏と日本語の堪能な金氏。
金氏の通訳の元、副社長直々の案内で、ショールームの見学、そして会議室での
ディスカッションが行われた。

設立当時の1990年代は世界規模でITの成長にドライブがかかった時代。
しかし中国はそれに乗り遅れていた事はいうまでもない。
そんな中わずか20年でここまで成長できた経緯を説明頂き、今後の目指すべき方向性も示して頂いた。

成長の原動力は3つあったという。

1つ目は、
当時の中国では珍しいソフトウェア開発企業であった為、国の支援を受けやすかった点。

本社のある広大な敷地「Neusoft大連ソフトパーク」は中国のソフトウェア基地として
95年に建設が始まり96年に運用が始まっている。

2つ目は、
欧米の有力企業との合弁会社設立によって、開発技術の向上、事業領域の拡大に成功した点。

99年にOracle、2000年にNokiaとMotorola。

3つ目が、
優秀な人材の獲得と育成を重視した点。

彼らはこれを「ヒューマンリソース開発」と呼んでおり、
上記の「Neusoft情報学院」の設立によって優秀な人材を学生の段階から囲い込み、
育成し、自社の即戦力として採用。

さらに彼らのロイヤリティを高めるための人事システムを構築し、快適な仕事環境を提供している。

以上の要因で今では中国にはなくてならないIT企業のひとつとなったようだ。

国の支援や、国外企業との合弁によって拡大してきた経緯を見ると、
かなりハンデをもらった上での事業拡大なので、ある意味ラッキーな側面もあるなと思った。

しかし彼らは、中国内に止まろうと思っていない。
(このようなケースだと、日本の企業であれば、そのポジションを活用し
国内インフラのIT整備のみに軸足を置く戦略をとるだろう。)

海外企業のアウトソーシング請負事業はすでに全売り上げの40%を占めており、
彼らの目線はすでにグローバルである。

グローバルで競争する事を前提に戦略が立てられ、資源配分が行われ、人材が育成されている。
国と企業が組み、グローバルで通用する国内企業を育成する。

恐らく、中国企業のグローバル展開のモデルパターンを作り上げようとしているのではないか?
そう思わず にはいられなかった。
中国の強さというより「末恐ろしさ」を思い知らされた企業訪問であった。

Neosoftを後にした我々は、大連マブチモーターの工場を見学した後、
総経理の古今さん(グロービスの元クリシン講師)と夕食を共にし、
大連スイッシュホテルにチェックインした。

初日から、中国のスケールの大きさ(規模も考え方も)を痛感して興奮していたが、
夕食時に飲んだ「白酒:パイジュ」が効いてきたのか12時過ぎには深い眠りについた。

MBAは農業を変えられるか?「農業業界をフレームワークで切ってみると Part1」

前回のコラムでは農業の問題を「担い手不足」だと指摘した。
なぜ「担い手不足」なのか?

それは儲からないから。
なぜ儲からないのか?

それは生産者に価格決定権が無いから。
なぜ価格決定権が無いのか?

JAへの過度な依存体質?
規制だらけの農政の弊害?
生産者に経営リテラシーがないから?
等々、要因は様々だろう。

農業の場合、国家的な食糧戦略の側面があることも見逃せない。

とは言うもののこのコラムを
「社会に対する提言」
的な内容にはしたくないと思っている。

あくまでも主語は「私 」。
自らの力でできることに絞って話を進めて行きたい。

となると、
農業というビジネスの現状分析が必要である。

グロービスのマーケティング・経営戦略基礎で習ったフレームワークを用いて
基本に忠実に分析していきたいと思う。

まずはマクロ分析
「PEST」である。

P(Politics):
昨年の9月に農地法が改正された。
この改正によって農地利用に対する規制が緩和された。
具体的には、農業生産法人でなくても、農地を農業に活用するのであれば、
一般の企業も農地を借りて農業に参入できるようになった。
これによって従来以上に法人、個人の農業参入がし易くなった。
一方、コメ等 の一部の作物以外は原則輸入自由化されている為
安い輸入作物との価格競争は依然厳しい。

E(Economics):
経済状況が悪くても、食の消費は比較的安定している。
逆に景気が良い時期でも、大幅に食の消費が増加することは考えにくい。
それよりも天候による不作や、豊作による価格下落リスクの方が大きい。

S(Social):
安心・安全な作物に対するニーズは依然強いものの、
一般的な消費者がそれに支払う対価は必ずしも高くない。
一方で日本の高齢化は疑い無く進む。
この事によって安全で安心でおいしいものに価値を認める高齢者層は
確実に増加する傾向にある。
ただ農業業界の高齢化は危機的状況で、生産者200万人の平均年齢は60歳である。

T(Technology):
機械化、省力化は進んでおり、人口の2%程度で国民の約半分の食料を
賄っているわけだから生産性は高いと言える。
さらに最近ではITを駆使した農業技術の進歩も著しく、
従来からある「匠の経験や勘」に頼っていた土壌分析や温度、
湿度管理などはIT技術によって定量化され、
素人でも管理できるようになってきている。

以上のマクロ環境を踏まえると

以前に比べ農地法の改正等の規制緩和やIT化などにより
企業や個人の農業参入のハードルは下がっているものの、
天候リスクや輸入自由化による作物価格下落での
収入減の不安(経営の不安定化)は依然拭いきれない。

ただ、高齢化が進む事によって
付加価値の高いものを志向する消費者は
増加する傾向にあると思われる。

さて、農業のマクロ環境の話となると
最近の農業ブームについて少しコメントしておきたい。

首都圏では週末にお金を払ってでも農業をやりたいという人が増えている。

年会費4~5万円程度の市民農園は2~3年待ちはざらで、
1回5千円~1万円の民間経営の体験農園も募集と同時に満員となる活況ぶりだ。

かくいう私もお金を払って農業を体験した1人である。

さらに驚くべき事に女性の比率が高いのである。
感覚的には7:3で女性多数で、20代~30代の女性が大半である。

なぜ農業が流行るのか?

おそらくこのテーマはインサイトに迫る必要がある。

ここではポストモダンマーケティングをこよなく愛する
グロービスの諸氏に下駄を預けたいと思う。

ただ、私の経験から感じたキーワードは

「開放感」
「転地効果」
「癒し」
「生命を育む喜び」
「採れたての美味さ」

などが挙げられる。

農業が一時期のブームかどうか見極めた上で、
この体験農園ビジネスも評価に値する選択肢として
次回以降で考察していきたい。

さて、横道にそれたので話を元に戻そう。

農業のマクロ環境を押さえたので、
次はより深く農業業界の魅力度を確認するために
ファイブフォース(5F)を使って検証していきたい。

が今回はここまでにしたいと思う。

前回の内容は長くて読むのに疲れるといった、
ありがたいご指摘を頂いた。
つたない文章を最後まで読んで頂きこの上ない喜びだ。

そのようなご指摘に従い今回はここで終了したいと思う。
今回も最後までご精読頂きありがとうございました。

PS:先々週、ジャガイモの植え付けと、ほうれん草、かぶ、ルッコラなどの種まきをした。
ちゃんと芽が出てきますように!

MBAは農業を変えられるか?~一年の初めに農業を考える~

梶原圭三@2007期生

ガラン ガラン ガラン パン!パン!
寒いと言うより痛いと言った方がぴったりくる今年の元旦。

私は家族を伴って初詣に出かけた。

私達の初詣はいつも福岡の田舎のこじんまりした、
それでいて歴史を感じさせる趣のある神社で行う。

参拝客もそれほど多くなく、その為いつも凛とした空気の中で
厳かに鈴を鳴らしかしわ手を打つ。
毎年変わらない正月の風景である。

いつも通りの初詣が終わると、いつも通りの年賀の挨拶。
「あけまして!おめでとーございます!」
元気な声が響き渡る。

梶原家では必ず正月に家族が全員集合する。
今年も総勢12名。
にぎやかな一年の始まりである。



さてさて、「一年の計は元旦にあり」というが
皆さんは今年どんな計を立てられたであろうか?

私は毎年、計をたてる時自分自身を三つの軸で考えるようにしている。

私人、いわゆる「個人としての自分」
会社の一部門を預かるマネージャー、いわゆる「組織人としての自分」
そして父親もしくは夫、いわゆる「家族人としての自分」という軸である。
※この軸の考え方は堀さんが著された「人生の座標軸」からの受け売りである。 これらの軸でそれぞれに成長目標なり成し遂げたい事なりを決める。

この方法は、それぞれの軸における自分の現状把握ができるので
頭が整理でき大変役に立っている。
みなさんも一度試されることをお勧めする。

この三つの軸の内「個人としての自分」の軸で設定した
今年の計をお恥ずかしながら披露させて頂く。

① 自分で作った野菜でBBQパーティーを開催する。
② TOEICで600点獲得する。
③ フルマラソンを4時間台で完走する。


いやはやなんとも、レベルの低い成長目標で。。。。。。
どうぞ笑ってやってください。

ただ、この目標を子供の前で発表してしまったので親父のメンツとして
是が非でも達成しなければならない。
(若干プレッシャーなーのだ:バカボンのパパ調)(笑)

そんな中、なんといっても今年の目玉は①である。

初めて農業に挑戦するのである。

土日だけであるが都内に農地を借りて野菜作りを手掛ける。
自分で育てた限りなく無農薬の野菜でバーベキュー。
想像しただけでもワクワクして、よだれが出そうだ(笑)!

みなさんは取れたての枝豆って食べた事があるだろうか?
この世のものとは思えないくらいうまい!

目の前の畑から収穫したばかりの野菜を洗って、そのまま調理する。
そんなバーベキューパーティ。
実現させるのでぜひみなさん!ご一緒しましょう!!

さて、随分長い前置きとなってしまったが、
今回はこの「農業」について思う事を書いてみたい。

昨年の9月から3ヶ月間「ふるさと起業塾」という、
農業を起点として起業を考えている人達が集まる塾に通った。

ここで農業業界を取り巻く外部環境、
新聞等で書かれている諸問題の本質、
実際の現場での生々しい現実等を学ぶ事ができた。

また、グロービス並みに熱い志を持つ人達との出会いもとても刺激的であった。

農業の抱える課題は山ほどあるものの
ビジネスとしての可能性も広がっている事を感じた。


ところでみなさんは食料自給率の話題を聞いた事があると思う。
現在わが国の自給率は40%で諸外国に比べ低いといわれている。
この自給率の低さが農業の大きな問題だという人も少なくない。

最初にこの自給率40%について私見を述べさせて頂く。

実はあまり大きな問題だとは思っていない。

なぜならを語る前に、
みなさんは自給率がどのようにして算出されているかご存知であろうか?

こうである。

 

自給率(カロリーベース) = 国民1人1日当たりの国内生産カロリー ÷ 国民1人1日当たりの供給カロリー

 

なお、国民1人1日当たりの供給カロリーとは
国産供給カロリー + 輸入供給カロリー + ロス廃棄カロリーの合計である。

 

賢明なみなさんは、この式を見られてもうお気づきだろう。

分母となる「国民1人1日当たりの供給カロリー」の中には「輸入供給カロリー」が入っている。

つまり国産供給カロリーが増加しなくても輸入供給カロリーが減少すると
自給率は上昇する事になる。

仮に輸入供給カロリーがゼロになると自給率は100%になるが、
現状輸入がストップすれば戦後のような食糧難になる事は間違いない。

そうすると数式の矛盾が顕在化してくる。

さらに、この数式に実際の数値を入れてみると、
国内生産カロリー=1013kcal 供給カロリー=2573kcalである。

よって自給率40%としているが、
実は2573kcalの内 768kcalは食べられずに廃棄されている分である。

この廃棄分を供給カロリーに含まなければ自給率は56%に跳ね上がる。

本当に日本の自給率が低いのか疑問が残る。 つまり、自給率計算の前提に矛盾が多すぎて
自給率40%の議論は意味をなさないというのが私の結論である。


鳩山内閣が数年後に自給率を50%にすると言っているが
数字のトリックで達成は容易にできるということである。

では農業の問題は何なのか? 私はひとえに「担い手不足」につきるのでないかと思う。

日本の農業生産者は約200万人。
その平均年齢は60歳。
産業としては危機的状況である。

なぜ担い手不足なのか?
儲からないからである。
なぜ儲からないのか?

生産者が価格決定権を持っていないからである。 なぜ生産者が価格 決定権を持っていないのか?

農協への依存?
生産者の経営感覚の欠如?
硬直規制化した農政の責任?

はっきりいってよくわからない。

ただ、数少ない私の経験から言えるのは、経営感覚を持って
農業を営んでいる方はほんの一握りだと感じている。


そんな中でも、グロービスのアカウンティング講師である松本泰幸氏
農業経験が無いにも関わらず、数年前に農業生産法人を立ち上げた。

山梨のイズミ農園は天候リスクを、生産地を分散化させる事で最小限にし
安定した供給体制を築き農業を法人化したモデルとして、グロービスの
マーケティング・経営戦略基礎のケースとして取りあげられた。

農業は魅力的ではないのか?
それとも魅力的なのか?

折角ブログを書く機会を頂いたので、次回からは農業を
グロービスで学んだフレームワークを用いて分析していく。

その上で農業参入の是非を考えていきたいと思う。

私も、現時点で明快な解をもっているわけではない。
これから畑を耕し野菜作りをしながら少しずつ考えていきたい。


ようやく、最後にMBAっぽくなってきた(笑)

できれば、このブログをきっかけにみなさんに
もうちょっとだけ農業に関心を持って頂きたい。


そしてご意見、アドバイス、ご批判、お叱り等々頂ければ幸いである。

3月から始まる野菜作りの格闘状況も何らかの形で情報発信していきたい。
どうぞ乞うご期待!!(誰も期待してないか(笑))

ご精読ありがとうございました。

 

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