名古屋校

名古屋校学生ブログ

エンジニアにとってのMBA~第4回:開発と経営の共通点~

みなさんこんにちは。このブログも第4回目となりました。

最近、グロービスの中だけでなく、僕の勤め先の人からも
「ブログ見たよ」なんて言われて嬉しく思っています。

さて今回は「MBAの仕事への活かし方」について書くつもりでしたが、
色々と考えている内に新たな気づきが得られたので、
テーマを変更して「開発と経営の共通点」と題してお送りしたいと思います。

■開発と経営は同じ!?

いきなりですみません。
「おいおい、いきなり何を言い出すんだ。開発と経営が同じな訳ないじゃないか!」
というみなさんの声が聞こえてきそうです。

しかし、「エンジニアにとってのMBA」という内容でブログを書くようになって、
開発と経営の関係を改めて考えてみると、開発と経営はその業務内容・プロセスが
非常に良く似ているということに気がつきました。

●V字型開発プロセス

僕が勤めている会社では、一般的な開発プロセスとして
図1に示すようなV字型プロセスをとることが多いです。

開発プロセスについてあまり詳しくない方のために、
V字型の開発プロセスとはどのようなものかを簡単に説明させていただきます。

V字型開発プロセスでは、どんなものを開発するかという「要件定義(仕様定義)」に始まり、 要件を満たすためにどのような機能が必要かを設計する 「機能設計」、 各機能をどうやって実現するかを設計する 「詳細設計」、 とブレークダウンしていき設計図を作成します。

続いてその設計図に基づき実際にモノづくりを行ないます。 モノが出来上がったら、「単体評価」のステップで部品レベルでの評価を行ないます。

次に「機能評価」で部品を組み上げて機能として評価し、 さらに「システム評価」において全機能を統合して 最初の要件を満たしているかどうかを評価します。

加えてV字型開発では、設計段階でシミュレーションを行って
ものを作る前に評価を行うことで手戻りを少なくし、
開発効率を向上させます。

0_10

●経営プロセスへの適用

冒頭にも書きましたが、僕はエンジニアにとってのMBAというものを考えている中で、
経営のプロセスがこのV字型開発プロセスに似ているということに気がつきました。

そこでV字型開発の各部分に経営の要素を当てはめてみました。

まず、開発プロセスの要件定義にあたる部分ですが、 経営では「経営理念」あるいは「ビジョン」の定義に相当すると思います。 企業としてステークホルダーに対して何がしたいかを明らかにします。

次に機能設計に相当する部分は、「経営戦略」あるいは「事業戦略」です。 開発で要件を満たすためにどのような機能が必要かを設計するように、 ここでは、経営理念やビジョンを実現するためにどのような事業や商品を扱うかを決めます。

そして詳細設計に相当するのは「実行計画」です。 ここでは経営戦略や事業戦略を実行していくために、 バリューチェーンの各要素毎により詳細な戦略を立案します。

例えば、「マーケティング戦略」「技術戦略」「オペレーション戦略」「組織設計」などです。 この段階まで来たら各戦略に基づき、計画を実行します。

実行したらその結果をまずは個人やチーム単位で評価します。 ここではMBOなどを用いて評価することになると思います。

次に事業単位で評価します。

事業単位の評価では、評価指標としては色々ありますが、例えば事業部毎の「売上」「利益」「FCF」などで評価します。

最後に全ての事業をまとめて会社全体として評価します。ここでの評価指標も様々なものがありますが、 「売上」「利益」「FCF」「株価」「顧客満足度」「社会的責任」「従業員満足度」など
全ステークホルダーの観点から評価されることになると思います。

また、開発の各設計段階でシミュレーションを行ったように、
経営においても各戦略構築段階でシナリオ分析を行うのが一般的だと思います。
シナリオ分析を行うことにより、戦略の実現性や問題点などが明らかになり、
リスクを減らすことができます。

以上のプロセスをまとめたものが図2になります。

1

以上のように経営の各要素は開発プロセスにうまく当てはめることができます。
大企業になればステップ数が増えるかもしれませんが、
大筋こんな所ではないかと思います。

また、プロセスだけでなく内容についても、
開発が知恵を絞って新規商品を開発するように、
経営も知恵を絞って新規ビジネスを開拓したり、 開発が既存商品について評価・分析を行い改善するように、
経営も既存ビジネスについて評価・分析を行い改善したり、
と似た部分が多いように感じます。

このように、経営とはビジネスの開発そのものだと思うのです。
開発の世界では専門領域を技術軸で分けて、
メカ屋、エレキ屋、ソフト屋などと呼んだりします。

この考えに基づくと、経営者はビジネス屋とでも呼ば
れる存在なのではないでしょうか?

つまり、専門領域をビジネスとする開発者、それが経営者なのではないでしょうか。

MBAで学ぶ科目の経営プロセスにおける位置づけ

経営プロセスが開発プロセスにうまく当てはまった所で、さらに調子に乗って、
MBAで学ぶ科目がこの経営プロセスのどこに位置するのかを考えてみました。

それが図3になります。

まず、企業理念・ビジョン定義のプロセスにおいては、 そもそもどんな企業にしたいのかを考える必要があります。 それを考える上で重要になってくるのが、経営者の「志」だと思います。 どんな企業にしたいのかは誰も決めてくれません。 経営者が企業を通して何がしたいか、それがはっきりしなければ 企業理念やビジョンは定まるはずもありません。

次に経営戦略・事業戦略および実行計画のプロセスですが、 ここは名前の通り「戦略系」の科目が当てはまるでしょう。 開発プロセスでは機能設計や詳細設計に相当する部分なので、 戦略というのは「ビジネスにおける設計図」と言えるかもしれません。

「実行計画の一部」「戦略実行」「個人評価の一部」といったプロセスは 「ヒト系」の科目が当てはまるのかなと思います。

ここが開発と経営の決定的に異なる部分で、 開発では設計図に従ってモノを作るのですが、 経営では戦略という設計図に基づいてビジネスを作っていく、 そのためにリーダーシップを持ちヒトや組織を動かしていく必要があるのだと思います。

そして評価プロセスには「アカウンティング」の科目が該当すると思います。 個人レベルから事業レベルの評価においては内部のマネジメントということで 「管理会計」が重要な役割を果たし、企業全体の評価においては会社外の人からも 評価されることを考えると「財務会計」のウェイトが大きくなるのかなと思います。

最後に開発ではシミュレーションに相当するシナリオ分析のプロセスには 「ファイナンス」の科目が当てはまると思います。 開発では設計したものが妥当かどうかをシミュレーションによって モノづくりの前に確認しますが、経営でも描いた戦略が妥当かどうかを ファイナンスという道具を使って実際に戦略を実行する前に確認します。

2

このように整理してみると、 「志」が経営プロセスのスタート地点であることが分かります。

どこのMBAでも戦略系・ヒト系・カネ系(アカウンティング・ファイナンス) の科目は学ぶと思いますが、 グロービスでは「志」の部分を学ぶ(というよりは自分の中で醸成させていく)
ことができるので、しっかりとした土台をもって経営プロセスを辿ることが
できるのではないかと思います。

■目指せ!ビジネス屋!!

さて、ここまで開発と経営の共通点(だと僕が思うもの)について
書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
この考え方はみなさんの中でしっくりきたでしょうか。

僕自身はこの考え方に辿り着いて、自分のフィールドである開発と
同じフレームワークに落としこむことができた上に、
これまで学んできたことが全てつながり1つにまとまったので、
かなりしっくりきています。

もししっくりこなかった方は、
自分の得意分野で整理しなおしてみると良いかもしれません。

ここまで書いてきたように、開発と経営は色々な部分で共通点があると思います。

僕の中のイメージは、
経営は開発のモノづくりの部分をビジネスづくりに置き換えた「だけ」、です。 そこが最大かつ唯一の違いだと思います。

経営の難しさは、扱うのがビジネスであり、 それを動かすヒトや組織であるという点にあると思います。
開発で扱うのはモノであり、きちんと設計して作れば、大体は思い通りに動きます。

しかし、経営の場合はそうはいきません。 いくらきちんとした戦略(設計図)を描いても、ヒトや組織が戦略通りに動くとは限りません。
むしろ思い通りに動かない事の方が多いと思います。
そこをいかに動かしていくか、それに尽きると思います。
このような難しさはあるものの、そこが経営の醍醐味であるとも言えます。

僕はこの難しさを克服し、メカ屋でもエレキ屋でもソフト屋でもない「ビジネス屋」を目指したいと思います。

今回最後まで読んでいただいた方、
長文にお付き合いいただきありがとうございました。

今後もエンジニアという観点でMBAを見つめていきたいと思いますので、
次回以降も楽しみにしていてください。それでは。

  • LINEで送る

「エンジニアにとってのMBA~第4回:開発と経営の共通点~」のページ。実践的なMBA(経営学修士)のグロービス経営大学院。リーダー育成のビジネススクールとして、東京・大阪・名古屋・仙台・福岡・横浜・水戸・オンラインでMBAプログラムを提供しています。