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祝・クラブ設立1周年! ゲスト6名を招いて製薬業界の未来を考えるスペシャルナイトを開催 ――グロービス経営大学院・公認クラブ「製薬ビジネスの会」 イベントレポート①

2019年08月27日

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クラブ活動 製薬ビジネスの会 活動レポート

グロービスの学生が、共通の目的や問題意識を持つ仲間と自主的に取り組むクラブ活動の活動事例紹介。


2019年5月17日、金曜日の夜。大手町のKAITEKI CAFÉに80名近いグロービス経営大学院の学生が集まっていた。今宵は、「製薬ビジネスの会」の設立1周年イベント。今春入学したクラブメンバーの歓迎会と、卒業したクラブメンバーの送別会も兼ねた大規模なイベントである。


約3時間のプログラムのうち、目玉となるのはスペシャルゲスト6名による講演やパネルディスカッション。グロービスの経営管理本部長であり教員も務める林恭子をはじめ、グロービス経営大学院の卒業生で、ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリストであり教員も務める伊藤羊一氏、医療法人社団鉄祐会 理事長の武藤真祐氏など、ビジネスあるいは製薬業界に精通するゲストが一堂に会する貴重な場となった。


開会の挨拶 〜代表幹事・平瀬志巨氏〜

開会の挨拶を述べたのは、クラブ代表幹事の平瀬志巨(ゆきお)氏。昨年5月にクラブを発足して以来、本業と並行しながら数々の活動を率いてきた。

「このクラブは、幹事の松田香絵さんの『グロービスの学生で製薬を軸にしたつながりができたらいいね』という一声から始まりました。私は当時オンラインで学んでいたのでコミュニケーションの手段がネットしかなく、たった一人でFacebookグループをつくり、投稿を繰り返しながら仲間を増やしてきました。最初のイベントの参加者は東京15人、大阪5人でしたが、徐々につながりを深め、現在クラブメンバーは387名。幹事も13名になりました」


「製薬ビジネスの会というひとつの船に乗ったと思ってください」と平瀬氏は語勢を強める。今年中に600名、来年には1,000名、2030年には5,000名のクラブに成長させていきたいというビジョンのもと、グロービスでの学びを実践しながらクラブ運営に勤しんでいるという。


「今日は、素晴らしいゲストの方々をお招きしています。Connecting the dots、点と点はつながる。この会を通じていろいろな方とつながり、今日という日がみなさんのお役に立てることを信じています」

「製薬業界とデジタル・シフト」 〜林恭子〜

■製薬業界はデジタル・シフトできている?

グロービス経営大学院を卒業したクラブメンバーのスピーチと花束贈呈のあと、最初のメインコンテンツがスタート。グロービスで経営管理本部長を務め、教員でもある林による「製薬業界とデジタル・シフト」と題した講演だ。

「2018年にAmazonで出版されたビジネス・経済本のうち、デジタル関連の本はおよそ97冊。2018年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされた言葉のうち、デジタルに関連した言葉は『GAFA』『eスポーツ』『仮想通貨/ダークウェブ』『TikTok』など。デジタル関連の言葉が流行語の候補になる時代です」


林は昨年、グロービスの同僚とともに『一流ビジネススクールで教える デジタル・シフト戦略 テクノロジーを武器にするために必要な変革』という本を翻訳・出版した。この書籍は、マサチューセッツ工科大学(MIT)デジタル・エコノミー・イニシアチブ(IDE)のデータサイエンティストとディレクター、そしてコンサルティングファーム・キャップジェミニのシニア・バイス・プレジデントの3人による書籍『LEADING DIGITAL』を翻訳したものだ。


本書では、デジタルマスター企業(デジタルトランスフォーメーションを成功させている企業)400社をリサーチし、共通する戦略フレームワークを明らかにしている。グーグルやアップルのような巨大IT企業ではなく、ITベンチャーでもなく、全企業の90%を占める非IT企業の戦略や取り組みにフォーカスする本書をもとに、講演は進められた。


「デジタルマスター企業になるには2つの能力が必要です。デジタル能力とリーダーシップ能力。どちらかだけ高くてもデジタルトランスフォーメーションは成功しません」

デジタル能力・リーダーシップ能力の両方がない企業は「初心者」、デジタル能力なし・リーダーシップ能力ありの企業は「保守派」、デジタル能力あり・リーダーシップ能力なしの企業は「先端派」、両方を兼ね備えている企業は「デジタルマスター」と位置づけられる。ちなみにここでいうデジタル能力とは、ユーザーエクスペリエンスを生み出し、強力なビジネスプロセスでビジネスモデルそのものを大変革できる能力のことだ。


「では、医薬・製薬業界はどこに属するでしょうか?」という林の問いに、参加者からは「保守派」「先端派」といった声があがった。しかし、正解は「初心者」。「2014年発売の本なのでタイムラグはありますが」と林から補足はあったものの、会場からはどよめきが起こった。

■デジタルマスターへの変革が急務な理由

デロイトとMIT Sloan Management ReviewのDigital成熟度調査(2018年)によれば、製薬業界は他業界と比べて大きく後れをとってはいないが、デジタル化の波に乗り遅れないためには強いリーダーシップによる全社的な取り組みが必要とのこと。

「現在はおそらく『先端派』に向かってはいますが、もっと速いスピードで取り組まなければ乗り遅れる。これが今の製薬業界の宿題なのではないでしょうか」


では、デジタルマスターに変革しなければ企業には何が起こるのだろうか。本書では驚くべきデータが公開されている。各企業の「効率性」と「収益性」を比較した際、「デジタルマスター」は効率性+9%・収益性+26%であるのに対し、「先端派」は効率性+6%・収益性-11%、「保守派」は効率性-10%・収益性+9%、「初心者」にいたっては効率性-4%・収益性-24%という明確な差が生じるのだという。


世界の製薬会社のトップはデジタル・シフトについてどう考えているのか。ノバルティスCEOは、「スマホなどのテクノロジーは患者が自ら健康を管理するのに大きな変化をもたらす可能性がある。それを遠隔地からモニターできるシステムを考えている」。バイエルCIOは、「社内のソーシャルプラットフォームをつくったことで情報がオープンになり、情報共有のスピードが変わった。社員の行動そのものが変わった」。ファイザー経営幹部は、「『世界を変えたいならまずは自分が変わりなさい』という言葉のように、まずは幹部自らが『デジタルを考えよう』と提言する」と述べている。

「製薬業界でデジタルを使うことにはさまざまなメリットがあります」と林。「コンピュータでの創薬によりシミュレーションがたくさんでき、コスト削減や効率化が図れます。患者とリアルタイムで関わることや、臨床とR&Dが一体となって開発を進めることも可能になります」


20分という短い時間で行われた本講演だったが、デジタル・シフトの必要性と課題をあらためて考える場となり、多くの参加者が真剣に耳を傾けていた。講演の内容をより詳細に知りたい方は、『一流ビジネススクールで教える デジタル・シフト戦略 テクノロジーを武器にするために必要な変革』をぜひ一読いただきたい。


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「製薬ビジネスの会」とは

本クラブには、製薬企業を中心に、医療、IT、コンサルなど幅広く製薬ビジネスに関わるメンバーが400名近く在籍しております。各分野の取組み事例を共有、議論することで、既存ビジネスの変革および新規ビジネスの創造を促進するとともに、会員相互のネットワークを構築し、会員それぞれの自己実現を目指しています。

クラブ活動とは

社会の「創造と変革」に貢献することをテーマに掲げ、グロービスの学生が自主的に取り組む活動です。共通の目的や問題意識を持った同志が集い、それぞれのクラブが多彩なテーマで独自の活動を展開しています。学年の枠を超えて、在校生と卒業生が知識や経験を共有し合うクラブ活動は、志を実現につなげるための場として、大きな意味を持つものとなっています。


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