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卒業生のキャリアケース:異動

卒業生のキャリアケース:異動

正野 記美代さん

研究職のキャリア~1つの企業で自分を磨き続ける

塩野義製薬株式会社Global Development Office, Portfolio Management グループ長

正野 記美代さんKimiyo Shono

※肩書きはインタビュー当時のもの

今までのキャリアについて

~研究職からポートフォリオマネジメントへ~

 1991年に、現在の会社である塩野義製薬株式会社に入社しました。研究所に所属し、最初の8年間は抗がん剤などの探索研究に携わりました。その後、研究プログラム管理、開発目標立案、市場調査、開発品のポートフォリオマネジメントなど、研究・開発部門の中で発展的に業務に携わり、2011年からは、さらにグローバルに開発プロジェクトのポートフェリオマネジメントを行っています。研究所から創出される新しいプロジェクトの開発目標立案を行うと共に、会社の将来設計の基となるグローバルでのポートフォリオを纏めるべく、海外子会社の仲間とも協働し、国内外を調整するという役割を担っています。
塩野義製薬株式会社は大阪起源の老舗の製薬会社で、まさにグローバルカンパニーを目指して着実に歩んでいこうとしている会社です。製薬業界でのポートフォリオに対する考え方はここ20年で発展しながら変化してきていると感じますが、私自身は、日本人の文化、考え方の良いところを残しながら、海外の方々の考え方の良いところを受け入れるということを今積極的に行っています。
薬を作るには、莫大なお金、多くの人の労力、時間が必要です。欧米のメガファーマと日本のファーマを比較して思うのは、少しばかり欠点があったとしても、良いところを見つけて薬に育てていく、根気強く努力するという取り組みを出来るのが、日本の製薬会社の良いところではないかということです。勿論、大きな投資の発生する段階での選択と集中は重要ですが、まだ早期の可能性としか言えない段階で可能性の種を育てるということも、何万分の1の確率でしか成功し得ない製薬業界にとって重要なやり方ではないかと思うのです。
はじめから選択・集中的に資本投下するのではなく、シーズの良いところを見つけ、きめ細やかに可能性の芽を育てるというのは日本特有の考え方かもしれませんが、だからこそこのような考え方で大阪発のグローバルカンパニーとして成功できるのかを証明していきたいと考えています。開発パイプラインを充実させ、薬を育てていくということと、ポートフォリオマネジメントを発展させ、会社としての成長と自分の成長を目指していきたいと思っています。

キャリア選択のベースとなる価値観について

~希望を叶えるには地道な積み上げこそが重要~

 もともと人の役に立ちたいという希望があり、また、長期的に仕事を続けていくということを考え、大学は医療系学部を志望して薬学部に進学しました。実験を行ったり、動物細胞を見ることが好きだったため、研究者を志向し大学院に進学するつもりでしたが、女性の大学院修了者には就職先がないことを指摘されて、4年生になってから就職に進路を変更。企業の選択にあたっては、研究・実験の職に就ける可能性があり、且つ新薬を出せるある程度の規模の企業という軸で1社受験し、そこから内定を得ました。それが現在の就業先です。
選択の余地に限りはありましたが、なかでも塩野義製薬の「堅実な社風」が最終的に大きな決め手となりました。長い歴史、良い製品を作っているというだけでなく、副作用などの情報もきちんと伝える企業姿勢に信頼が置けました。
 キャリアについて大事にしていることは、まず、自分の軸になる価値観が何かを自問自答することです。自分が今ライフステージのどこにいるかを自覚し、自分のその時に大事だと思う事柄の優先順位を考えてきました。
今自分が出来ること、自分がどうしたいのか、どうなりたいのかを時々振り返って考えてみる努力は必要です。方向性が定まったなら無理はしないことを前提に、今より少し背伸びをして学べることは学びに行く、実施できることは実施してみると良いのではないかと考えます。
単に生きる(ご飯を食べる、食べさせる)ことと、よりよく生きる(自分のしたいことをして高みを目指す)ことというのは、どちらも重要でどちらが尊いということはありません。また、色々とチャレンジしてみたいことがあったとしても、内的・外的要因により一足飛びにはできないということも自覚しなければならないでしょう。
焦りは禁物で、まずは目の前のこと、自分のできる範囲のことをしてその場所でささやかな花を咲かせ、根を張っていくことの繰り返しが、実はキャリアに繋がっているのではないかと考えます。「自分なりの志(長期展望)をもち、目先の目標(短期展望)を設定し、そこに向かって努力していく」ということを意識し、積み重ねていけば何かしら見えてくるものがあり、それこそが自分にとって活かすべき最良の縁ではないかと思うのです。

必要なスキルと能力開発について

~育児と両立させながら進めたスキルアップの取り組み~

 英語はいずれ必要になるだろうという直感から、大学卒業以降、日々、通勤時間にカセットを聴いたり、英語で映画のビデオを見るなど、育児に忙しい時代も含めて意図的にトレーニングを続けました。
業務に直接必要とされる部分については、関連する論文を読んで専門性を高める努力をしながらもそれ以上の可能性を模索し、自分が保持していない実験スキルを身に付けるべく、新しい実験技術の講習会を何度か自費で受講したり、複数の英文学術誌を購読したりしました。
子供が小学校に上がって半年経ってからは、新たにチャレンジを始めてみようと、バイオビジネスと企業を結ぶという、大阪商工会議所の仲介で出来た大阪バイオビジネススクール(第一期)を受講、経営学のエッセンスに触れたこともあります。
 さらに2003年からは、研究から薬を出すためのヒントが経営学にあるのではないかと考え、社会人向け大学や大学院などを検討し、働きながら経営大学院で学ぶ道を選択。当時は、「一介のおばさん社員が40歳近くになってMBA取得なんて何を夢みたいなことを言っているのか」、「MBAなんて頭でっかちになるだけだ。地道に目の前の仕事をしてキャリアを積むべき」と忠告してくださる人もいましたので、目の前の仕事をきちんとしながら、謙虚であることを心がけ、少しずつ経営大学院での学びを生かしていくことを試みました。
経営を学んだことによって仕事のステージは変化したと思います。たとえば米国子会社との会議の際に問題を見出し、共通の言語でそれを議論できる場面が増えたこと。海外で初めての市場調査を行う際、調査会社や米国子会社のカウンターパートと同じフレームで議論し、業務を進めていけるようになったこと。しかし経営のフレームを理解して業務に活用するだけではなく、自分が何のためにそれをしているかという志も常に意識してきました。だからこそ今、フレームを越えてつながっています。
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研究職の社内異動事例 塩野義製薬 正野氏 のページ。実践的なMBA(経営学修士)のグロービス経営大学院。リーダー育成のビジネススクールとして、東京・大阪・名古屋・仙台・福岡・横浜・水戸・オンラインでMBAプログラムを提供しています。