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卒業生のキャリアケース:転職

卒業生のキャリアケース:転職

野本 周作さん

サービス業における経営プロフェッショナルを目指して

松下電工株式会社を経て、株式会社ポジティブドリームパーソンズバンケット事業 統括ゼネラルマネージャー(経営管理統括本部並びにコンサルティング事業室を兼務)

野本 周作さんShusaku Nomoto

※肩書きはインタビュー当時のもの

今までのキャリアについて

~回り道をしてようやくたどり着いた自分がやりたかったこと~

 私のキャリアの原点は、大学時代のアルバイトです。テニスのインストラクターに加え、ミスタードーナツの新規オープニングスタッフを4年半続けました。どちらも「社会や世界を変える」という大きなスケールではないものの、人の日々の生活をより楽しいものにするためのお手伝いができるという意義を見出し、熱中して取り組みました。特に私が感銘を受けたのは、ミスタードーナツのフランチャイザーであるダスキンの創業者・鈴木清一氏が掲げられている「喜びのタネまき」という理念です。この考え方が、後々の私のキャリア選択の軸に大きな影響を与えます。

 2001年に大学を卒業し、松下電工株式会社(現在のパナソニック株式会社エコソリューションズ社)の経営企画室に配属になりました。最初の5年間は企画調査グループという、事業部の事業企画や商品企画が直面している課題を解決するためのマーケティングリサーチの企画に始まり、リサーチ結果からの示唆を提出するところまでを担当する部門でした。以前よりBtoCへの興味関心が強かったことから、ドライヤーやシェーバーなどの小物家電や照明、住宅設備、介護などの事業を担当し、トータルで約250の案件を手がけました。
 通例では、その後、事業部に異動して現場経験を積むのが一般的なキャリアなのですが、思いがけないことから、同じ経営企画室内の戦略企画グループという、社長の戦略スタッフチームに異動となり、社長のスピーチライターや中期計画・年度方針の主担当として、20代ではなかなかできない仕事を担当させてもらいました。
グロービス経営大学院に通い始めたのは、ちょうどその頃、戦略企画グループで働き始めて2年が経った頃です。企画調査グループ時代は独学でマーケティングリサーチの先進事例を調べ、それをどうにか自分たちの事業に応用してきました。しかし、経営に近い立場に移ったことで、マーケティングしか知らない自分の力不足を痛感するとともに、自分のアウトプットが社内に与える影響力の大きさを実感したことから、グロービス経営大学院の門をたたきました。
 在学していた2年間はリーマンショックがあったり、新しい中期計画の立案があったりと、学びと実践を繰り返す充実した日々を送っていました。一方で、大学院で出会う教員や仲間の志の高さや生き方・考え方に触れるにつれ、自分はこのままでいいのか、本当に何を成し遂げたいのかを思い悩む日々でもありましたが、家族のことを考えると、なかなか思い切った行動にも移れず、時間は過ぎていきました。

 2010年の大学院卒業後、しばらくしてパナソニックがパナソニック電工(旧松下電工)と三洋電機を吸収合併すること、そして事業再編を行なうことが決定しました。私はそのうちの1つのプロジェクトの事務局担当として、パナソニック電工の主要事業が担う分野の成長戦略、ならびに構造改革プランの立案を担当することになったのです。MBAでの学びを最大限に活かし、非常にエキサイティングな時期を過ごしていました。しかし、自分が愛した会社がなくなってしまうというショックと、若い頃から経営企画や事業企画として「使い勝手のいい人材」で居続けることへの不安から、それまで培ってきた経営に関するスキルや経験を活かすために、外の世界に飛び出そうという意思を固めました。

 その後、パナソニックとの合併後の姿が固まり、パナソニック電工としての最後の経営方針の発表を終えた2011年に、欧州系戦略コンサルティングファームであるローランド・ベルガーの日本法人に転職しました。転職以前もずっと経営企画にいたことに加え、MBAでも学んだため、仕事内容も想像することができ、充分にやっていけるとは考えていましたが、その自信は最初の1ヶ月で見事に打ち砕かれました。
圧倒的なスピードとアウトプットの質の高さ、そして何よりクライアントのために粉骨砕身でハードワークするプロフェッショナリズム。どれも私の想像をはるかに超えており、それまでやってきたことのヌルさ、甘さを痛感する毎日でした。しかし、それこそが自分自身が求めていた環境であったことも確かです。徐々にですが、バリューも出せるようになり、ポジションも上がったため、担当する業務も増え、ハードながらも非常に充実した毎日を送ることができました。
 担当した案件は多岐に渡ります。結果として大小あわせて40くらいの案件に携わらせてもらったのですが、その中には日本を代表する企業のR&D戦略であったり、ラグジュアリーブランドのマーケティング戦略、海外製品の日本への導入戦略、変わった案件だと、大学の中長期戦略などもありました。そんな中、規模の大きな企業やブランドだけではなく、高級洋菓子ブランドの海外展開戦略であったり、美容関連チェーンの再生戦略など、比較的規模が大きくないBtoCのサービス業を手がけるクライアントのプロジェクトを担当する機会が続いたのですが、その過程で大学時代にやりたかった「日々の幸せを増やしていく」仕事に対する想いが少しずつ芽生え始めました。
 もちろん、コンサルタントという立場で様々な企業をご支援することでそれを実現することは可能です。しかし、所属していたファームの当時の特性上、幅広い分野のプロジェクトを担当することから、必ずしも自分の興味・関心が強い分野を担当できるとも限りません。加えて、やはり戦略コンサルというのはハードワークですから、家族への負担も結構なものになります。私も2人の子供ができ、家内への負担も大きくなってきた上に、30代後半に突入することもあり、キャリア開発としては猶予がなくなってきました。同じハードワークをするのであれば、家族に負担をかけるだけの価値があると確信できる、強い想いを持てる分野や企業・事業の成長や再生に携わりたいと考えたのです。

 そんな想いから転職活動を開始し、出会ったのが現在勤めるポジティブドリームパーソンズ(以下PDP)です。当初聞いていた説明では、売上高の大半がブライダル事業ということで、強い興味は持っていませんでした。しかし、色々と調べていく中で、ブライダル企業ではなく、ホテル・レストラン・バンケット・フラワーといった複数の事業を持つ「感動創出企業」として、「感動で満ちあふれる日本を創ってゆく。」というビジョンを追い求めていることが分かったのです。そのビジョンが、自分自身が目指している方向性と合致すると確信し、ジョインさせてもらうことに決めたのです。ちなみに、PDP代表の杉元は私の通っていたグロービス経営大学院の卒業生です。社内にも同校の卒業生が複数名在籍しており、同校に社費で研修の一環として派遣する制度があるなど、非常にグロービス経営大学院と関わりの深い企業であることを、入社後に知り、驚いた次第です。よくグロービス経営大学院内のつながりで転職したと勘違いしている方がいらっしゃるのですが、実は入ってはじめて「そうだったんですね!?」みたいな感じだったので、何か引き付ける力があったんだろうと思っています。。
 入社後は、これまでの経験を基に、大きく3つの業務を担当しています。
1つ目は、ヒト・モノ・カネ・情報などの経営管理的な仕組みの構築。2つ目は、ホテル・施設のオーナーである不動産ファンドやアセットマネジャーをカウンターパートとした運営受託・コンサルティングなどの事業開発。そして3つ目は新たな中期計画や成長戦略の策定・推進に向けた様々な企業のベンチマークです。
1つ目は大きな企業で経営企画という立場で色々な仕組みを見たり、作ったりしてきた経験に加え、それらをグロービス経営大学院で体系的に学んだことがこのような仕事を推進する素地となっています。2つ目、3つ目については、グロービス経営大学院で培った基礎能力をベースに、戦略コンサルでの経験を通じて強化した分析能力がとても活用できています。
 加えて、この5月からは、兼務ではありますが、バンケット(一般宴会)事業の統括責任者を任せてもらっています。PDPが持つ複数の事業の中でも、最も収益性が高い同事業ではありますが、これまでは戦略やオペレーションが充分に確立しているとは言い切れない状態で、経営陣の期待に応えるような成長を果たせていませんでした。そこを担当することとなり、まずは、社内のデータを掘り起こして分析をすると共に、事業部内外のメンバーに対するヒアリングを繰り返し、現状の事業の状態を「見える化」しました。そして、その結果を元に取り組むべき戦略を定め、それを実現するためのオペレーションに落とし込み、そのオペレーションの導入と実行を徹底していく。そんな、非常にオーソドックスながらも、実は最も難しいことを進めていき、このPDPという会社の収益創出エンジンとなる事業を「変革」し、成長軌道に乗せていくこと、ひいては会社全体の成長により「感動に満ちあふれる日本を創ってゆく。」というビジョンの実現に寄与することが、私の現在のミッションの多くを占めています。まだまだ道は半ばではあり、油断は出来ませんが、事業としての足腰も強くなりつつありますし、徐々に結果も出てきつつあります。

 急成長しているとはいえ、まだまだ年商130億円弱のベンチャー企業ですので、やるべきことは無限にあります。しかし、そこで竦(すく)んでいたり、立ち止まっていては、企業は生き残っていけません。もちろん、そうなると目指すビジョンなんかも到底達成できません。様々経営課題を担当させてもらい、それらを一つずつクリアしていくこと全てが、PDPの「質と格」を高めていくことに直結するフィールドで闘えているということに喜びを感じながら、日々奮闘しています。

キャリア選択のベースとなる価値観について

~原体験に基づく価値観を基点とする2つの軸~

 昔から変わらない価値観の軸は、「プロフェッショナルとしてバリューを出しながら、より高みを目指せること」と「人々の生活における幸せを少しでもいいので増やし続けること」です。思い返せば、両方とも大学時代の2つのアルバイトが原体験にあるのだと認識しています。
どちらも対価をもらってモノやサービスを提供し、それがお客様の喜びや幸せを増幅していくという仕事でしたし、その役割を全うするために、アルバイトであろうともプロフェッショナリズムを持って仕事をすることが必要であると考えてきました。
2つの原体験で芽が出ていた2つの軸が、より強固になったのが新卒で就職した松下電工でした。松下電工の企画調査グループ時代には、マーケットリサーチのプロフェッショナルとしていかに消費者のニーズを明らかにするかを指向していましたし、戦略企画グループ時代には、経営企画のプロフェッショナルとなるべく、経営企画とは何かを論じた書籍を読み漁ったり、他社の経営企画の方々と交流する場を作り、意見交換をすることで、自分なりのあるべき経営企画の姿を描いていました。
加えて、創業者である松下幸之助氏が掲げた経営理念の一つである綱領にある「社会生活の改善と向上に寄與」というワンフレーズが、私のもう一つの軸を強固にしてくれました。同社には様々な製品・サービスに携わっている人がいますが、皆が経営理念に示されたように「社会生活の改善と向上に寄與」すべく日夜努力しています。
その中で10年間、育ってきたことが、会社から飛び出した今も、私の成し遂げたいことの原点となっているといっても過言ではありません。
ただ、そのような自分の価値観の2軸に気づくことができたのも、グロービス経営大学院に通い、自分の中で色々なことを考え、整理し、同じ学び舎の仲間と対話を繰り返してきたお陰です。常に自分の「志」とは何かを考えさせ、自発的に追い求めてゆく教育の中で、自分の過去を振り返り、自分の今の想いと対峙し、自分が本当に大切にする価値観を見つけることができたのです。
そのような過程を経たからこそ、経営のプロフェッショナルとなることを志し、家庭を持ちつつも、安定した大企業から飛び出し、戦略コンサルティングファームという厳しい世界に飛び込むことを選んだのです。皮肉にも、そこで本当のプロフェッショナルとはどんなものかを、改めて学ぶことにはなったのですが、その経験があったからこそ、今の自分があると強く思っています。
そのような環境下で携わったプロジェクトを通じて、2つ目の軸「人々の生活における幸せを少しでもいいので増やし続ける」という軸を思い出せたことが、PDPへの転職につながっています。
このように自分の価値観に沿ったキャリアを歩めていることはもちろんですが、その道を与えてくださった方々にも本当に感謝しております。

必要なスキルと能力開発について

~「プロフェッショナルであり続けるために」という問いを直視し続ける~

 自分がプロフェッショナルとして出したいバリューをしっかりと見据えると、必要なスキルや能力についてはおのずと見えてくるものだと考えており、自分でもこれまで歩んできたそれぞれのフェーズでそうして来ました。定期的に自分自身を客観視し、自問自答することで、目指す姿と現状とのギャップを明らかにし、そのギャップを埋める手段を考え、実行してきました。
リサーチャーだった頃は、社内にもノウハウが蓄積されていない分野に挑戦していたので、とにかくマーケティングリサーチの先進事例をリサーチファームはもちろん、学会・大学や他の企業など、あらゆるところに学びにいきました。試行錯誤しながら、学んだものを自社の事業・商品にあった形に適応させていくことで、自分のスキルを高めていったのです。
 経営企画業務に従事していた頃は、学ばなくてはならない経営的知識が広範だったことから、グロービス経営大学院に通学し集中的に足りない部分を埋めていきました。その際に、学んだことを実務ですぐに活かせる環境にいたことで、その学びを自分のものにすることが出来る、非常に恵まれた環境にいたと思います。
戦略コンサルティングファームで働いていた頃は、求められるスキルがポジション別に明確に規定され、その規定に照らし合わせた上で、プロジェクト毎に評価されるので、自分に足りないものがクリアになりやすい環境でした。また、その足りないものを埋めるためのトレーニングもありましたが、何よりも質・量ともに非常に高いレベルが求められるハードなプロジェクトを通じて常に相当な量のストレッチをし続けることで、当時はかなりつらいことも多かったものの、後から振り返ってみれば、そのお陰でスキルや能力を伸ばすことが出来たと思います。

 PDPで与えられている現在の役割の中で、私自身が必要だと感じている能力は大きく2つあります。
1つ目は、絶対に結果に結びつけるという「徹底力」です。これまでやってきた仕事というのはどちらかというと、直接的に収益という成果に繋がる仕事ではありませんでした。しかし、事業を統括するという役目も持っている現状の立場はまったく異なります。自らの判断の一つ一つがPDPの収益、さらには、企業価値に影響します。どれだけ緻密に設計され、時間をかけて導入をしていった戦略やオペレーションでも、結果が出ないと、その時間やコストが無駄になります。自分には、これまでやってきた仕事のクセや自分なりのこだわりによって、成果に直結しない部分に時間をかけてしまう傾向があるのですが、「それは本当に重要なのか」「絶対に成果に結び付けるにはどうしたらいいか」という問いにしっかり向き合い、「徹底力」を高めていく必要があると感じています。
2つ目は、リーダーとして周囲の人々と力を合わせ、会社と事業を成長させていくために必要な「先導する力」です。以前は個人プレーや限られた範囲内での仕事が多かったのですが、現在の担当範囲は非常に広く多岐にわたっているため、会社や事業を目指すべき姿に引っ張っていくためには、周囲の人々を「先導する力」が必要です。物事を成し遂げるためには、スキルももちろん大切ですが、全人格的な能力を高めていくことが必要だと感じています。
徐々に求められる水準が高くなってきていることを実感する毎日ではありますが、志の実現に向けて、これは避けて通れない道だと考えています。グロービス経営大学院で得たモノを基盤に、これからも頑張っていこうと思います。
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