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卒業生のキャリアケース:転職

卒業生のキャリアケース:転職

横山 玲子さん

同じ業種の仕事であっても意味づけ次第で、やりがいは得られる

テレビの番組制作、金融SE・プロマネを経てコモンズ投信マーケティング部

横山 玲子さんReiko Yokoyama

※肩書きはインタビュー当時のもの

今までのキャリアについて

~より面白くて難しい仕事を追求した結果、見失ってしまった自分~

 大学時代に行っていた活動のご縁で、社会人としての第一歩は、地元鎌倉のケーブルテレビ局でのアナウンサー職でした。オフィスは松竹の大船撮影所の隣にあるメディアセンターの中にあり、かつて松竹での映画作りに携わった先輩方から取材、撮影、編集など映像制作について教えていただきました。テレビの仕事は日常のちょっとした出来事を印象的に伝える仕事。右脳と左脳をフル活用する毎日試行錯誤の連続でした。小さな会社にも揉め事はいろいろあるもので、忍耐力を鍛えることもできました(笑)。ローカルテレビなので、将来、日本全国~世界に出ていくことはできないという明白な事実があったので、入社から2年後、新しい一歩を踏み出すために退職しました。

 テレビの仕事は感性と体力勝負だったので、しばらくはバランスをとるためにも頭を使って勉強がしたくて米国会計の勉強を始めました。どうせなら、学びながら現場で実践したほうが効率良く身につくと思い、ロサンゼルスにある小さな会計事務所にお手伝いに行けるように準備を進めたのです。アメリカで住む家も準備し、仲間から送別会までしてもらったのですが、申請していたビザの手続きに不備があって許可が下りずに渡米を断念せざるを得ませんでした。

 すっかり憔悴しきっていた私に、友人が証券会社向けにシステムを提供する上場したばかりのベンチャー企業を紹介してくれ、働かせてもらうことになりました。ベンチャー企業だけにプロジェクトが乱立している状態。会計の勉強をしていたので経営企画室での採用の予定だったのですが、エンジニア経験が無いにも関わらず、プロジェクトにアサインされてしまったのです。ここから金融SEとしてのプロジェクトマネージャー人生が始まることになりました。

 自分が選んだわけではなく、偶然のめぐり合わせによって得た仕事ですが、「プロジェクト」単位で仕事を進めることは自分に合っていると気付いたのです。新しい仕事は、のびのびと自由にやっているだけで、社内のプロジェクトメンバー、協力会社のメンバー、もちろんお客さんともひとつのチームになることができ自然にうまく進みました。毎日遅くまで働いていましたがまったく苦しいと思いませんでした。仕事のオファーは「面白そう!×難しそう!」という条件を満たせば、迷わずGO!という感じでどんどん受けていました。

 当時は自分と自分の周りの人たちが毎日楽しく過ごせれば満足で、社会との繋がりや、働くことの意味などについて、何も考えていませんでした。その後、より面白く難しい仕事を求めてプロジェクトをわたり歩き、金融SEとして、2度転職しました。

 プロジェクトマネジャーになって5年くらいすると、徐々に視野が広くなり、周りを見渡す余裕が出てきました。そして、自分が作っているシステムと、そのシステムを使っているユーザーが生み出しているものの意味について、考えはじめたのです。私がやってきた仕事は社会にとって何の役に立っているのか。どんな価値があるのか。そうした想いが自分の中で次第に大きくなっていきました。そんなある日、仕事が急に無意味に思えてしまい、ぱったりと体が動かなくなってしまいました。当時私は、香港資本の会社でイギリス人のボス、ドイツ人のエンジニアと高度なトレーディングシステムを日本で展開するという責任を負っていました。より面白くてより難しい仕事を求めて続けているうちに、知らぬ間に強いストレスに自分を晒していたことに気が付きました。

 楽しくて仕方がなかった仕事へのモチベーションを失ったまま、だましだまし仕事をこなしていたとき、グロービスで論理思考を鍛える科目があることを知り気晴らしに受講してみたのです。「クリティカル・シンキング」という科目だったのですが、脳細胞が活性化して、視界が明るくなっていくような新鮮な感覚を感じました。
このクラスを受講したことで、忘れていた素の自分と、自分が学ぶことが好きだったことを思い出したのです。1科目の受講だけだったのですが、自身の至らなさを実感。グロービスのMBAが気になり出しました。そして入試で求められるエッセイのテーマを見て、グロービスが志を大切にしていることや、成長意欲の高い学生が集う場所であることを知ったのです。「今はまだ志と呼べるようなものはないけど大丈夫かな」と一抹の不安を感じつつも、学びの楽しさが忘れられず、「とりあえず行動しよう!」と自分で自分の背中を押して、入学することを決めました。

 「働きながら学ぶというのはどんな生活だろう、、、」と期待と不安が私の心に渦巻いているとき、東日本大震災が起きました。震災をきっかけに、ちょうどつまずいていた自分の人生や仕事の意味について真剣に向き合いはじめたのです。その後、ストレスの元になっていた会社を辞め、これまでよりも時間と仕事に融通が利く会社に転職。ビジネスパーソン人生をやり直すつもりで、グロービス生活を始めました。

キャリア選択のベースとなる価値観について

~金融に対する考え方が180度変わった~

 キャリアは振出し状態で、経営者を志す気持ちもなかったので、最初は「志」系と呼ばれる科目が苦痛でした。まだ自分と向き合うことに慣れていなかったので、初めは辛さやもどかしさを感じていたのですが、そのうちに慣れてきて、「人生で何を成し遂げたいのか?」を模索している状態が普通になったのです。やりたいことがない、明確な目標がないのは私だけかと思いましたが、一緒に入学した仲間たちを見回すと、皆も辛そうにしていてホッとしました。

 一生懸命取り組んできたことに社会的意義や価値を感じないというのはとても空しいことでした。もったいない時間を過ごしてしまったと後悔しても時間は取り返すことはできない。「次の仕事は絶対に金融とシステム以外!社会にとって意味があって、人の役に立つ仕事がしたい!」と心に誓って仕事探しをしていました。

 グロービス2年目の夏、仲間たちから誘われて「あすか会議」に参加しました。その年の「あすか会議」の分科会には、現在の勤務先であるコモンズ投信会長の渋澤健が「論語と算盤」というテーマで登壇していました。渋沢栄一のことは知っていても、その玄孫の渋澤健という人がどんな人物で何をしているのかは全く知りませんでした。渋澤のプレゼンで「論語と算盤」、渋沢栄一の合本主義や銀行をはじめとする金融の生い立ちを初めて聞きました。
そこで、私は仕事のスキルを高めることに一生懸命で、関わってきた業界そのものの意義について理解を深めることを一切してこなかったことに気がついたのでした。

 これまで私が関わってきた金融の仕事は、一部の人たちが1000分の1秒を争って、人間の代わりに機械が取引を繰り返す世界でした。しかし渋澤の言う金融は人間同士が、お互いにないものを融通し合う普遍的なシステムでした。こうした金融に対する考え方は、これまで私が関わってきた金融とはまったく別のものだったのです。

 ある書籍に「きっと誰にでも、これまで苦しんだり悩んだりした経験の意味が分かり、点と点が繋がって線になり、これから自分が成すべきことを確信する瞬間が訪れる」ということが書かれていました。私にとっては、あの日たまたま渋澤の話を聞いたのが、まさにその瞬間でした。

 自分と会社が同じ夢を持っていると仕事は楽しいはずです。コモンズ投信で働きたいと思うようになった途端に、無意味だと思っていたこれまでの仕事での経験が価値あるものに生まれ変わりました。自分の過去の時間を未来に向けて活かすことができるのは、とても嬉しい変化でした。

 私に大きなきっかけを与えた「あすか会議」から1年半後、コモンズ投信で働くことになりました。BtoBのプロジェクトマネージャーからBtoCのWEBマーケッターへの転身です。会社を動かす大切な役割のひとつを私に任せてくれたことに感謝すると同時に、自分の強みを活かして必ず期待以上の効果を出すことを誓ったのです。

 現在は入社してしばらく経ちましたが、やることは山積みながらも、毎日充実しています。社会に生きる一人ひとりが今日よりもよい明日のために自ら行動できる社会。それを長期投資によって実現する。会社と自分が一緒になって追いかける夢のために一歩一歩前進あるのみ。そんな社会にとって意味があって、人の役に立つ仕事に携われていることに幸せを感じながら、日々真剣に仕事を楽しんでいます。

必要なスキルと能力開発について

~働いて、学んで、働いて。振り子のように成長を続ける~

 人は有限で大切な時間の多くを、仕事に使います。だからこそ私は時間を忘れるほど夢中で仕事をしたいと思っています。私の場合は人よりも少したくさん転職をしましたが、そうしてやっと自分は何がしたいのか何に興味があるのかが分かってきたのだと思います。夢中になれる仕事と初めから巡り会えることはけっして多くないと思います。だからこそ、日々きちんと自分の心の声を聞いて、夢中になれる仕事を探し続け、そうした仕事に就くべきだと思います。自分の人生の多くの時間を費やす仕事を何にするかは自分にしか決められません。働く人全員が得意なことを仕事にしてそれぞれの力を発揮すれば仕事はもっと楽しくなるし、社会はもっと良くなるはずです。だから、得意なことを仕事にして、それで社会に貢献するのが一番だと思います。

 とはいえ、自分が得意なことを見つけ出すのがまず難しいですよね。私はまだ得意なことをはっきりと自覚できていません。MBAでの学びを通じて苦手なことは分かってきたかな、と思います(笑)。意識していなくても、なんだかんだと続いていることは得意だからこそかもしれません。そうと思えば見方が変わります。得意なことを見つけるために新しいことにチャレンジしたり勉強したりする。そうしているうちにも得意なところが知らぬ間に見つかっていて、あとから振り返って気がつくのかも知れません。

 私は極端なくらい、学んで働いて、働いて学んで、と振り子のように行ったり来たりしてきました。どちらかを突き詰めて、それが満ちると衝動に近いくらいの力で反対側に向かっていくタイプの人間のようです。これからもきっとそうやって成長しながら、キャリアを築いていくのだと思います。
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金融分野におけるキャリア構築 転職事例 横山氏 のページ。実践的なMBA(経営学修士)のグロービス経営大学院。リーダー育成のビジネススクールとして、東京・大阪・名古屋・仙台・福岡・横浜・水戸・オンラインでMBAプログラムを提供しています。