活躍する卒業生・在校生

卒業生のキャリアケース:起業

卒業生のキャリアケース:起業

中野 智哉さん

会社員から起業への道

求人広告会社の営業を経て、株式会社i-plugを起業代表取締役社長

中野 智哉さんTomoya Nakano

※年齢・肩書きはインタビュー当時のもの

今までのキャリアについて

~採用手法にイノベーションを起こす~

 大学卒業後の2001年6月に60名程度の規模の求人広告会社に入社しました。
 朝8時から24時までの勤務で、新規の営業を担当し、毎日150件のテレフォンアポイントと15件以上の企業訪問でどんどん新規アタックする営業活動を行っていました。
次に、2002年に2社目となる求人広告会社に転職しました。300名規模の企業で仕事内容は、1社目と全く同じです。転職1年目は、6時30分に出社して24時まで勤務で、時間と工数を掛けて営業するスタイルでした。
2年目からは兵庫県全エリアを担当しました。そこでは中途採用からアルバイト採用、中小企業から東証一部上場企業の採用まで幅広く経験しました。新規営業からクライアントの求人広告用の取材、原稿作成など幅広い業務を全部こなす営業スタイルで、とにかく「クライアントの採用ができないという課題を解決する」ということにこだわって、営業を約5年間行いました。
 さらに、業績・士気ともに低迷を続けていた神戸営業所の意識改革プロジェクト「神戸維新」を発足し、所属する全メンバーへ意識改革を推進しました。 別部門への異動が決定したため、道半ばとなりましたが、その後、神戸営業所は業績を回復。関西で一番安定した営業所になり、他薦によって社内で表彰されることもありました。
神戸エリアからの異動後も順調に成果を出し、4つのことを経験しました。
・チームリーダー(プレイングマネージャー)
・転職媒体を販売する新組織の立ち上げ
・グループリーダー、課長職
・関西エリアの代理店様をサポートする仕組み作りです。
会社の環境を変えたいという思いの下、エリアのトップや事業部のトップに今の戦略の課題と、私が考える打ち手をどんどん言うようにしていた期間だったと感じています。
特に転職媒体を販売する新組織立ち上げも自ら提案を行いましたので、その立ち上げに参加できたのはとても貴重な経験でした。
 2社目には10年間所属しましたが、2012年にビジネススクールで出会った仲間とともに、「新卒採用の手法を変化させ、優秀な学生と成長性の高い企業とのミスマッチをなくすこと」を目標に掲げ、会社を設立しました。現在はこのビジネスをさらに大きくしていくことを目指しています。
現在の会社を経営する上で気を付けていることは、組織のスピードを上げるためのリーダーシップに意識して取り組むことです。ベンチャーはスピードが大切で、なおかつ組織のスピードを上げるには、「納得感のある戦略オプション」、「即時実施」、「早期検証」が重要であると考えています。課題と戦略オプションは各々が随時検討し相談、意思決定は全員でするという流れで実施しています。スピードが上がりそうなITツールはどんどん取り入れ、役員は24時間、常に意思決定できる環境を整え活動しています。
経営を担う上でのやりがいは、成功も失敗も全て明確に自分の責任であるという点です。言い訳が通じない世界というのは、とてもやりがいがあります。

キャリア選択のベースとなる価値観について

~「将来は起業するぞ!」と学生時代から思っていた~

 大学時代はテニスとアルバイトばかりの学生生活を送っていたため、就職先が決まらず卒業。卒業して半年後に中途入社で社会人デビューをしました。
祖父や父親、叔父2人が事業家だったのが影響したのか、学生時代から「将来は起業するぞ!」と思っていました。でも何をしたいかは全く分からず、将来起業する時に少しでも役立つ業界は?と考え、全業界のことを知ることができるという理由で求人広告の会社に入社。また厳しいと言われている営業職で自分を鍛えようと思っていました。
「キャリア」について考え始めた時期は、2008年のリーマンショック前くらいです。その頃は1日15時間働くスタイルでパフォーマンスを発揮していましたが、時間をかけて経験から学び成長するスタイルには限界を感じ始めていました。何をすれば自分が変わるのかわかりませんでしたが、大きなきっかけは、会社が打ち出した生産性向上プロジェクトでした。
ノー残業デーや22時以降は仕事がしづらくなり、さらにパフォーマンスを上げるためには何かを学ばなければいけないと感じました。その時に以前知人から聞いていたビジネススクールに通ってみたのですが、そこでは一流大学を卒業して一流企業で活躍している役職の多くの方々が、土日も必死に勉強している姿がありました。世の中にはもっと努力している人がいるのかと気付き、そこから勉強を開始しました。学べば学ぶほど、今の矛盾やリスクが分かるようになり、自分の身を守るにはまずは自分自身の道を決めなければいけないと感じました。
全般的にキャリアを考える上で大切だと思うのは、「自分の利益を考えてばかりいると何も変わらない」ということです。ビジネスは全て、お客様が価値を感じ、お金を支払うことから始まっています。ですから、常にお客様のことを一番に考えないといけません。その次にあるのが、それを実現する会社であり、組織です。その中の一人が自分であるので、自分の利益を叶えることばかり考えてキャリアを考えるのはなかなかうまくいかないと思います。お客様が喜び、会社が喜び、組織が喜び、そして自分も喜ぶ姿を考え、実行することで自身のキャリアが開けるのではないかと思っています。あとは行動あるのみ。考えて行動するのではなく、行動して考える方が今のスピード感に合っていると思います。理想は行動しながら考えるというスタイルです。

必要なスキルと能力開発について

~起業・経営に役立つスキルとは~

 求人広告の営業をしていた時に持っていた強みは、「人当たりの良さ」「仮説思考」です。愛想が良いことを善と考え、常に笑顔を意識することや何事もポジティブに捉えるようにしていました。また知的好奇心という言葉が好きで、どんな事象に対してもなぜ起こったのか、どんな意図があるのかを考える癖があり、それがヒアリング能力の基礎になったと思います。
加えて、営業職を経験する中で身につけたのは、「商品・業界知識」、「プレゼンテーションのスキル」、「アフターフォロー」といった力です。まずは徹底的に、自社や他社の商品、業界全体の知識を学びました。その上でお客様には比較して判断できるような提案を心掛けました。自社サービスと他社サービスの違い、求人広告と人材紹介の違い、求人広告内の広告タイプの違い、求職者の属性別の違いなどです。提案前には必ずシミュレーションしてお客様先に入るなど、的確に、端的に伝える事を意識して何度も練習しました。
 また、リピート率を上げるためにアフターフォローも徹底しました。求人広告は掲載すると連絡しなくなる営業が多く、お客様の満足度が低下する事が多々あります。 そこで広告掲載初日に連絡、3日後に連絡、7日後に連絡というアフターフォローを実践し、効果が悪い場合は即座に提案し、リピート受注を増加させるようにしました。
その後の新媒体立ち上げや意識改革プロジェクトで必要とされ、磨かれていったスキルは、「巻き込む力」、「飛び込み力」だったと感じています。
特に、意識改革プロジェクトの時には「巻き込む力」が必要でした。自分だけで解決できる問題ではなかったので、当時2000名の事業部のトップにいきなりメールを送り、電話をするというようなこともしました。所属事務所の将来的な戦略を確認し、どのような方向に進もうとしているのか、そのために直近では何を行うのかなどを確認したことで、メンバーレベルだけでなく、所属事務所のトップまでも動かざるを得ない状況になり、この経験から多くの人を巻き込む力は必要であると実感しました。
「飛び込む力」とは、取り敢えずやってみるという事です。考えていても実践しないと分からないことばかり。だから実践して間違っていたら方向修正する事が一番の近道であると学びました。
またビジネススクールで学んだ事は、すぐに実践に取り入れました。例えば、「クリティカル・シンキング」という科目の受講後は、関西エリア改善の企画書作成し、勝手にプレゼンテーションを行うなど、入学して学んでいる最中からいろいろと業務の改善提案をしてきました。卒業後は起業し、日々学んだ内容を実践していますが、学んだ事を実践できる場所があれば良いキャリアになるのではないかと考えています。
こういった経験を踏まえ、現在の社長職を担う中で特に役立っていると感じるのは、「仮説思考」、「飛び込む力」です。「仮説思考」はとても役に立ちました。なぜお客様に使って頂けないのか、なぜ差別化できないのか、様々なアドバイスを頂いた背景は何なのかなどを考え、検証することでビジネスアイデアが浮かんできます。「飛び込む力」は特に起業時には必要かと思います。周りからは反対は少ないものの、大丈夫かと心配はされます。ベンチャーに完全な競争優位性など存在しないので最後にはこの力が必要なのではないかと思います。
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