マイキャリ・マイデイス

大人女子的スキルアップレッスンとは>
キャリアをもっと考える>
ツイート
 転職を決断するその前に!その選択は戦略的ですか?
vol.6

転職を決断するその前に!
その選択は戦略的ですか?

同じ職場で何年も働いていると、どうしてもマンネリに感じられてくるもの。そんなとき新しい分野に興味が湧いたり、以前の夢が再燃したりして、“転職”の二文字が頭に浮かんでしまうのもまた、社会人の常かもしれません。でも、転職は本当に最善策といえるのでしょうか? 新卒入社した会社で人事部に配属されて5年目のマナミも、キャリアアップを考えるなかで転職への関心が高まってきたようです。そこに現れたのはチエ先生。このまま今の環境で働くべきか、それとも転職すべきかの選択で悩むマナミに、ベストな道を見極める方法をアドバイスします。

今年の求人数はさらに増加の見込みかぁ……。
そんな真剣に雑誌を見つめて、何か勉強中?
あ、びっくりした! チエ先生、実は……転職雑誌をチェックしてるんです。前に先生がAIDMA・AISASについて教えてくれたのをきっかけに(※)、マーケティング・企画関連の仕事をしたいなと思って。
いまは人事部で働いているのよね。具体的にマーケティングや企画の仕事のどんなところに惹かれたの?
人事部で5年目なんですけど、仕事に慣れてきたせいか少し閉塞感があって。マーケティング職や企画職は常に世の中の流れに敏感でないといけないし、きっと変化に富んだ仕事なんだろうなって。マンネリとは無縁なのかと思って憧れちゃいます。
仕事に慣れてくると、単調に感じられることがあるかもしれないけど、そこから転職へ展開するのは、急過ぎるかもしれないわね。まずは、その漠然としたマンネリ感が何なのかとか、自分の現状と希望は具体的にどうなのかを掘り下げて、じっくり考えてみることから始めてみたらいいんじゃないかな。
え、自分のことを掘り下げるってどういうことですか?
マナミさんが日々がんばっている人事部の仕事を見つめ直すってこと。たとえば人事部の採用活動では、いつ、どれだけ、どんな人材を、どんな方法で採用するかを決め、その情報をどの媒体に、いくらかけて広告を出すのかとかプランニングしないといけないわよね。これってマナミさんが希望している企画の仕事そのものだと思わない? そのプランニングの中では、市場調査をしたり、これまでの活動を振り返って分析したりマーケティングの要素も多いんじゃない?
なるほど、言われてみれば確かに……。私のイメージしていたマーケティングとは少し違うけど……。
すっきりしない顔ね。転職をどうしても辞めさせたいわけじゃないのよ。転職に失敗しないためにも、自分がどんな仕事をこなせているのか、どういう能力があるのか、この先どうしたいのかを掘り下げて、有効に活かさないともったいないということが言いたいだけ。ちょうどいい方法があるわ。マーケティングでは「3C」と「4P」というフレームワークをよく使うんだけど、それを自分自身に当てはめてみると参考になると思うわ。
「3C」と「4P」? 何かの書籍で目にした気はするんですけど、どんなフレームワークですか?

(※)スキルアップレッスンVol.2参照(http://mba.globis.ac.jp/woman_career/skilluplesson/p154/

マーケティングの3C・4Pとは、いずれも、企業の事業戦略やサービス戦略に利用される、代表的な分析方法のこと。フレームワークを使うことによって、事業や戦略の最適化に活かすことができます。

3Cは、自社が置かれている環境を分析し、その業界で成功するプレーヤーの要件を見定める(ある業界での成功要因の定義を導く)ためのフレームワーク。3つのCは、市場・顧客(Customer)/競合(Competitor)/自社(Company)を意味します。つまり、市場(お客さん)が求めているものは何か、ライバル企業の強み・弱みは何かを踏まえて、自社の特徴を把握し、勝つべくして勝つための条件を見つけるアプローチといえます。

4Pは、マーケティングの打ち手を具体的な戦略と整合させながら考える際に、漏れなく施策を出すための観点・枠組みのこと。3Cが戦略立案の段階で機能するのに対し、こちらはより実行プランを考える段階で利用されることが多いです。4つのPは、商品(Product)/価格(Price)/流通(Place)/販売促進(Promotion)を意味し、どんな商品を売るのか、いくらで売るのか、どこで売るのか、どのように売るのかというもの。これら4つの観点で具体策を組み立てていきます。

元々は商品やサービスなど企業活動を対象にしている3C・4Pのフレームワークですが、今回はマナミという人材の活かし方に利用しようというのが先生のアイデア。自身の「強み」や「ポジティブな特徴」を客観的に捉えて、就職や転職などで自分を売り込むときの戦略立てに活用してみると、ぼんやり考えていた自分の立ち位置や、今後の希望との関係がスッキリするのではないでしょうか。自分という人材はどんな業界のどんな仕事でより必要とされるのか、その価値をどう伝えるのがいいのか、検討することができそうです。

なるほど! 3C・4Pに当てはめて考えることで、客観的に現在の状況や課題がわかるんですね。
マナミさんが考え始めている転職活動に3Cをあてはめてみると、市場・顧客(Customer)は広告代理店や事業会社のマーケティング部門や企画部門ね。それもより中途採用を重視しているような会社、競合(Competitor)はそういった部門へ転職を希望している様々な強み・実績を持った他者、自社(Company)はあなた自身ということになるわね。
うーん、転職希望先の会社が「経験者優遇」としているので、今の時点でマーケティング部門に所属していない私にとっては、ライバルたち(Competitor)に勝つ要件は乏しいかもしれないですね……。
でも、マナミさんならではの強み(Companay)はあるはずよ。あなたが他の人に負けないと思うスキルや経験を挙げてみて。
私自身が採用をする側として多くの人に会ってきたので、人をみる目や自社の文化をきちんと理解してPRすることなら、経験を活かせる気がします!
いいわね! 次は4Pにあてはめて考えてみましょうか。あなたという商品(Product)をどこで(Place)、どのように(Promotion)売り込むのがよいか、自分の希望年収(Price)も含めて具体策を立てることはできるわ。

あなたの今のスキルと興味関心を活かせる部署は、人事部以外にいまの会社にないかしら?
先生、いま考えている途中で、ふと思ったことがあって。ちょうど今、会社で営業企画部の中途採用を準備しているんですが、そこで求めている人材と、私のスキルや特徴がマッチするかもしれないです。
そうなの? 転職じゃなかったとしても、そこで働くことも大きな一歩じゃない? まだ自信がないようなら、今の部署でマーケティングや企画の要素を含んだ仕事で実績を重ねていくのもいいと思うわよ。まずは身近なところから自分ができる仕事をどんどん広げていって、人材としての価値が高まっていけば、また転職に対する考え方も変わってくるかもしれないわね。
そうですね! そのときは、今よりもっと自分の強みが増しているはずだから、またあらためて3C・4Pにしたがって自分の売り込み方を考えてみればいいですよね!

客観的に自分自身をよく掘り下げて

日々の仕事に閉塞感を覚えたり、別の分野への関心が高まったりすると、「ステップアップ=転職」という発想に至りやすくなります。確かに環境が変わることで、一気に前に進めることもあるでしょう。しかし転職はとても大切な決断のひとつ、自分の足元を再度見つめても、慎重過ぎることはありません。転職を決めてしまう前に、客観的に自分自身をよく掘り下げて、さまざまな選択肢のなかから、最適な進路を導き出すようにしましょう。

今回はその手がかりのひとつとして、マーケティングの3C・4Pを紹介しました。自分を会社や商品に見立てて、フレームワークに当てはめてみると、置かれている状況や強み・弱みが明確になり、どのようなアクションをするのが適切であるかが見えやすくなりませんか。

3C・4Pは本来、企業の戦略立案等に用いる分析方法なので、マーケティング要素を含むさまざまな仕事にも応用できます。身の振り方に悩んでいなくても、ビジネスの基礎知識として身につけておくと、きっと仕事で役に立ちます。

監修者:西口敦