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 「“いい人”がいたら紹介してね!」……曖昧な言葉が解釈の違いを生んでしまう!?
vol.5

「“いい人”がいたら紹介してね!」……
曖昧な言葉が解釈の違いを生んでしまう!?

ひとたび仕事を離れれば、私たちにとって恋愛や結婚も重要な生活の一部分。容姿から性格まで何もかも理想通りのカンペキな相手とはいかないまでも、「いつか必ずいい出会いが」「いい人がきっとどこかに」という希望を抱いて、パートナー探しを真剣に考えている人もいらっしゃるのでは? マナミも最近パートナー探しに取り組みはじめたようです。昨夜も素敵な出会いを期待して飲み会に参加したのですが、どうやら期待はずれに終わった模様。話を聞いたチエ先生は、マナミが何度も口にする「いい人」という曖昧な表現に問題点を見出します。

また今回もハズレか……。
こんにちは、マナミさん。最近調子はどう?……って、なんだか浮かない様子ね。何かあったの?
わかります? 実は最近、私生活も充実させようと思って、パートナーを探し始めたんですけど、なかなか思うようにいかなくって。頑張りが足りないのかなぁって、反省しているところです。
マナミさんもついにパートナー探しをはじめたのね! でも、思うようにいかないって、どういうこと?
いい人との出会いがないってことです。昨夜も同僚がセッティングしてくれた飲み会があって、同僚からは「今回はマナミにピッタリの人が集まりそうだよ」って言われてたので、私も期待して行ったんですけど、結局、期待はずれに終わっちゃって……。
期待はずれって、どういう風に?
うーん。普通にいい人そうな男性はいたんですけど、なんかピンと来なくって。とりあえず、プライベートの友達にも「いい人がいたら紹介して」って頼んであるので、今度は見つかりそうな予感が。同僚より友達のほうが私に合いそうな人をわかってくれてるはずだし。
「いい人」という言葉がよく出てくるけど、マナミさんにとって「いい人」ってどういう人のこと? それを友達は本当に理解してくれてるのかな?
多分……。やさしい人がいいって話したことがありますし、私のことを分かってくれていると思うんですよね。
やさしい人か。やさしさの受け取り方も人それぞれだよね。それよりも、パートナーとどういう関係性を築きたいとか、将来どんな生活を送りたいとか、イメージを持つことのほうが大事。そのあたりをあまり考えていないから、「いい人」のようなビッグワードが無意識に出てしまうんじゃないかな。
えぇっ! そこまで考えてませんでした。ところで、ビッグワードってなんですか?

ビッグワードとは、コミュニケーション相手との間で解釈や認識のズレが生じやすい、抽象的な言葉のことをいいます。たとえば、ミーティングの席で部長が「顧客満足度をより一層高めるために、各自全力で取り組むように」と檄を飛ばしたとしましょう。「努力しなさい」という大まかなメッセージは伝わってくるものの、「顧客満足度を高める」という表現が抽象的で、具体的に何をすべきかが判然としません。ある人は価格を安くすることと解釈するかもしれませんし、またある人は顧客の話をよく聞くことと受け止めるかもしれません。そうなると、結果的に組織の連携が乱れ、トラブルに発展する恐れが出てきます。

ビッグワードには、いくつかのパターンがあります。上記の部長のように、自分と同じく相手もわかってくれているだろうという希望的観測に基づいて発せられるもののほかに、そもそも理解が不足していて、それが曖昧な言葉となって出てくる場合や、具体的な言葉を使うことで自分の逃げ道を塞いでしまうことを恐れて意図的に使う場合もあります。ビッグワードはその時々の文脈によって変化するので一括りにはできませんが、以下のようなビッグワードになりやすい言葉や言い回しに心当たりがある人は、使い方に注意してくださいね。

●形容詞・副詞
かなり、大変、もう少し、前向きに、早めに、できるだけ……
※程度を表すこれらの言葉は要注意です。「早めに」と言われても、明日なのか、3日後なのか、人それぞれ解釈が違います。なるべく具体的な数値を用いて伝えるようにしましょう。

●動詞
検討する、頑張る、善処する、意識する……
※便利な言葉ですが、具体的にどんな動きをするのかが全く見えてきません。これらの言葉に頼って問題を先送りせずに、何をどのように検討したり、頑張ったりするのか、相手にも伝わるように考え抜くことが大切です。

●名詞
シナジー、バリュー、インパクト、パラダイム……
※カタカナ語や流行り言葉は、言っている本人が理解しないまま、「それらしく」使っていることがあります。意味を聞かれたときに平易な日本語で言い直せないものは控えましょう。

●接尾語
解決策「など」を検討します
私「的」には……
組織「力」の向上を……
※このような名詞のあとにつく言葉もビッグワードになりやすい性質があります。「~など」「~的」を無意識に使うと、その前の言葉がぼんやりして、その威力を失います。また、「~力」のような言葉は、具体性を欠くことがあるので、どういう力なのかを正しく認識した上で使いましょう。

確かに「いい人」っていろんな解釈の仕方がありますね。具体的な言葉に置き換えなくてもある程度伝われば、そのうち理想的な人に出会えると思っていたフシがあります。
じゃあ、仕事に置き換えて考えてみて。今のマナミさんの仕事で、そういうビッグワードが通用するかな。たとえば、人事のお仕事で「いい人」を募集することがある?
まさか~、「いい人」なんて曖昧なリクエストするわけないじゃないですか。経歴とかスキルとかある程度の基準を設けて、実際にお会いして、仕事に対する考え方やキャリアプランを聞いた上で、うちの会社に適している人かどうかを……。あっ、パートナー選びも同じこと。そう言いたかったんですね、先生。
ちゃんとわかってくれたみたいね。人って身近すぎることについては、わかっている気になって言葉が不足しがちなの。だから、まずは自分のなかで考えを整理して、「私はこういう人を求めています」ということを具体的に示さなきゃ。
そうですよね。やさしいっていう私のリクエストも、当てはまる人はたくさんいそうだけど、その条件を満たせば誰でもいいってわけでもないと思います。この機会に自分のなかのイメージを一旦クリアにして、どういう人がいいのか、もう一度考え直して、それを周りの人にもわかるように伝えないといけませんね。
それがいいと思うわ。プライベートのことも、ビジネスのことも、自分の思いをきちんと説明してみることで、新たな発見があるかもしれないわよ。
はい! ちゃんと説明して、今度こそ私にぴったりな人を探してもらいます! そして、会ったあとも見た目や直感だけで決めつけず、相手のお話を聞いて、自分の価値観に合う人かどうかをしっかりと見極めます!
その調子ならきっといい人が見つかるわよ。あっ、私までいい人って言っちゃった(笑)。

いつのまにか、無意識に使っていることも

今回のマナミさんのパートナー探しで出てきた「いい人」のような、「非常に抽象的で、いろいろな解釈を生んでしまう言葉(ビッグワード)」は、日常のいろいろなシーンで何気なく使われています。「いい感じのお店知らない?」「早めに提出します」「持ち帰って検討します」「私的にはこちらのほうが……」などなど、枚挙に暇がありません。

こうしたビッグワードのすべてが不適切なわけではなく、幅のある言葉をあえて投げかけてみて、相手の認識度合いを確かめたり、具現化のトレーニングをしたりするという有効な使い道もあります。

ただ、ほとんどの場合が理解不足や希望的観測から具体化を避けているだけで、誤解や勘違いの連鎖を起こしてしまう危険性をはらんでいます。気心知れた相手との日常会話ならそれほど支障はないかもしれませんが、大事な話をするときや、誤解が生じてはならないビジネスのシーンでは、安易にビッグワードを使わないように気をつけてくださいね。

監修者:西口敦