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リーダーシップを発揮せよ??私、向いてないんですけど……
vol.3

リーダーシップを発揮せよ??
私、向いてないんですけど……

「リーダー」というと、文字通り、先頭に立ってみんなをグイグイ引っ張る人を想像しますよね。そんなイメージにとらわれて「自分はリーダーにふさわしくない」と敬遠したり、負担になっている人も多いのでは? 上司からリーダー的ポジションを任されて、後輩の指導に直面したマナミ。どんどん指示を出して、厳しく教育するように言われていますが、あまりにも普段の自分と違う態度を取ることに戸惑いを感じています。チエ先生に相談したところ、マナミが想像しているリーダーシップは、一つのモデルでしかないことが分かりました。

チエ先生、実はこの春から後輩を指導する係になったんですけど、私、リーダーには向いてないみたいで……。でも、ポジションを任せられたからやらなきゃいけないし。どうしましょう。
どうして自分がリーダーに向いていないと思うの? 後輩が言うことを聞いてくれないとか?
いいえ、みんな早く仕事を覚えようと一生懸命やってくれています。でも、慣れない仕事だから効率が悪い部分もあって。そのフォローをしていると、私をリーダーに抜擢した課長が言うんですよ。「甘やかさずにもっと厳しく指導するように!」って。課長の言い分もわかるんですけど、私、そういうタイプじゃないんですよね……。
じゃあ、どういうタイプ?
強いて言うならリーダーの補佐かな。みんなの意見をしっかり聴いて調整を図ったり、困っている人の相談にのったりしてチーム全体のバランスを保つようなポジションが向いていると思っています。そういう役割は、学生時代から誰に頼まれるでもなくやってきました。
つまり、課長さんが言ってるみたいに、どんどん指示を与えて部下を引っ張るのがあなたにとっての「リーダー」で、自分はそれに当てはまらない。そういうことね?
はい。あれ? そもそもリーダーの考え方が間違っていますか?
あなたが考えている「リーダー」は、従来からよくあるモデルの一つに過ぎないのよ。典型的なリーダー像だけれど、世の中のリーダーがみんなそういうタイプだと思う?
うーん……。そういえば、他部署の友達が、「私の上司はガンガン言わないタイプだけど、チームはうまくまとまってる」みたいなことを言ってたっけ。その上司は違うタイプのリーダーってことかな?
おそらくね。その人も自分が指示型のリーダーではないと自覚をしているのかもしれないわね。だからあなたも一つの型にとらわれていてはダメよ。私が思うに、あなたには「サーバントリーダー」の素質があると思うけど。
サーバントリーダー? そういうモデルがあるんですね。早く教えてくださいっ!

サーバントリーダーシップとは、アメリカのロバート・グリーンリーフが1970年に提唱した「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という考えに基づくリーダーシップ哲学です。一人のリーダーが組織のトップに立ち、指示や命令を与えて物事を推し進める従来のリーダーシップとは対照的に、サーバントリーダーは部下たちとビジョンを共有しながら一定の権限を譲り渡すなど、組織の支援者に徹します。

リーダーシップ比較

参照:サーバントリーダーシップとは?(http://www.servantleader.jp/about_servant.html

従来のリーダーシップとサーバントリーダーシップの違いを詳しくみていきましょう。

サーバントリーダーシップ

参照:”The Essentials of Servant-Leadership: Principles in Practice” Ann McGee-Cooper and Gary Looper(http://www.gc-j.com/sl02.html

上の図でもわかるとおり、従来のリーダーは自分の権力を行使することで自分自身の利益・成長を追求する傾向があります。一方、サーバントリーダーは自分だけでなく部下との信頼関係を大切にし、みんなと対話しながら組織全体の利益・成長をめざします。もっとも違いが出やすいシーンの一つが、部下が失敗をした時でしょう。指示型のリーダーは本人を叱責し、失敗を繰り返さないように仕事のやり方を提示し指導します。多くの人がイメージするリーダーの行動はこちらではないでしょうか。これに対してサーバントリーダーは本人との話し合いを通じて失敗の原因を探り、失敗を起こさせない環境づくりを共に考えます。効果が出るまで多少時間はかかるかもしれませんが、本人に合った解決策につながりやすく、また組織の結束を強める働きがあります。

以上の違いを照らし合わせてみると、サーバントリーダーの武器は、人間関係構築力、つまり相手のことを思い相手の立場に立ってコミュニケーションする能力であることがわかります。おしゃべり好きで社交的、そして家族や友人など相手のことを思いやる気持ちを素直に表現し、行動に移すことができる女性にはもともと、サーバントリーダーの資質が備わっているのです。指示型のリーダー像に当てはまらないからといって、リーダーになることを諦めたり、敬遠したりする必要はありません。サーバントリーダーシップモデルを参考にして、自分の長所を生かしたリーダー像を形づくっていきましょう。

サーバントリーダーって縁の下の力持ち的な役どころなんですね。私、断然こっち派です。
あなたの話を聞いて、向いているなと思ったの。女性リーダーの約9割がサーバントリーダータイプといわれていて、認知度も高まっているのよ。
これからは後輩に「ああしなさい」「こうしなさい」と一方的に指示しなきゃって気負うのはやめていいですよね? もし困っている様子だったら何がわからないのか聞いたりして、どうすればいいかを一緒に考えるとか。そんなことから始めてみようと思うんですけど。
大賛成よ。課長さんの期待は受け止めつつ、「みんなのために行動する」っていうサーバントリーダーシップの基本に立ちながら、自分の経験やアイデアをどんどん取り入れていけばいいのよ。
そっかー。私、リーダー願望なんて今までなかったんですけど、サーバントリーダーならなれるかなと思えてきました。いつか、もっと大きいプロジェクトリーダーを任された時のために、今から心がけておくべきことってありますか?
基本的なスタンスは今と同じでいいと思うけど、組織として最高のパフォーマンスを発揮するために、メンバーの能力を把握して各自のレベルアップにつながる役割分担や権限委譲ができるといいわね。それから、女性にありがちな感情に流される言動は慎むべき。周りが混乱するし、信頼関係にヒビが入る恐れがあるから。
なるほどー。そのポイントを忘れずに、さっそく明日からマナミ式サーバントリーダーシップを磨いていきます!
そうそう。あまりモデルにとらわれず、あなた流のリーダーを目指していけばいいのよ。その意気でがんばってね!

女性らしさ、自分らしさを生かし、自然体で役割を

組織を牽引する従来のリーダー像と、自分の性格や価値との違いに戸惑いを感じているなら、組織の支援者に徹するサーバントリーダーを目指してはいかがでしょう。多様性や個を尊重する社会のあり方からみても、柔軟性のあるサーバントリーダーは今後ますます評価されてくるはずです。

特に女性は男性よりコミュニケーション能力やチーム全体の成功をめざすメンタリティに優れ、ありのままでもサーバントリーダーになりうる資質が十分にあります。女性らしさや自分らしさを生かし、自然体で役割を果たしていけばいいのです。ただし、チエ先生も忠告していたように、女性は情緒豊かな反面、その時の感情で動く傾向があるので、物事を冷静かつ論理的にとらえるロジカルシンキングを身につけておくといいでしょう。

リーダーシップに対する考え方は、ビジネスにおける管理職育成にとどまらず、コミュニティ全般で自身の役割を発見し、自分らしい生き方を見つけるヒントにも。生涯にわたって役に立つ学びなのです。

監修者:村尾佳子