私は前職で監査法人に勤務し、会計監査および会計視点でのコンサルティングを行っていました。監査法人には、上場企業に対して財務諸表監査を行う一方で、上場前の企業に対して会計視点から上場を支援する業務もあります。上場支援の業務の中でも、私のミッションは財務諸表の作成方法や会計処理、内部管理体制の構築に関してのアドバイスでした。そのため、経営者と直接話をさせていただく機会が多く、もっと経営全般のスキルを磨かなくてはと思ったのが、MBA取得を考えたきっかけです。
具体的には、企業の株式公開支援に5年ほど携わり、その後M&Aに関わる業務を中心に関与してきました。デューデリジェンスという業務が多いのですが、M&Aの対象となる企業の財務データを読み込み、対象企業の経営陣にインタビューをしながら、財務データの調査を進めていきます。つまり、投資企業に内在する投資リスクを抽出、数値化し、それを投資する側の企業に説明するのです。この業務は通常1ヶ月ほどの短期間で行われるため、買収対象企業のビジネスモデルの要点を素早く正確につかむ必要があります。この業務に携わってまだ日が浅かったのですが、グロービスで得ている学びをすぐ活用することができました。
すでに30代でしたし、年齢的に仕事を辞めて大学院に通うことは考えていませんでした。そこで、夜間と週末に授業がある学校に絞り込みましたが、仕事との両立ができるのかという不安がありました。また、学んだことをすぐに実務に活かしたいと考えていたので、講義形式のアカデミックな授業では物足りないとも考えていました。
グロービスは、平日の夜と週末というカリキュラムに加え、授業の振替受講制度もあります。またディスカッション中心で実践的な学びを提供する大学院として周囲の評価が高かった。そこでまずは、1科目から本科生と同じ授業を受けられる「単科生制度」を利用し、自分の目でその良さを確かめてみようと思いました。
「まずは試しに」と気軽な気持ちで受講したのが、『クリティカル・シンキング』。教員のファシリテーションが素晴らしく、ディスカッションが活発で、教室は熱気にあふれていました。そして、仕事を終えて夜間に学ぼうという意識の高い社会人がこんなにも大勢いるのかと驚いたことをよく覚えています。
授業では、ビジネスパーソンにとって基本となる論理思考法を学びました。「考えるとは、何をどう考えることなのか」という考え方の基本など学んだことがありませんでしたから、とても新鮮でした。「世の中にこんな考え方があったのか」と毎回驚きの連続でしたね。この科目を受講したことで、目の前の世界の見え方が大きく変わりました。
グロービスの魅力は、2つあります。優秀な教員陣と、学びに貪欲な仲間の存在です。
教員のほとんどがビジネスの最前線で活躍する実務家なので、机上の経営学ではなく、リアルな経営課題を学んでいる実感があります。たとえば『マーケティングⅠ』の授業では、教員が実際に手がけた某スポーツメーカーの事例を交えながら議論が進んでいきました。実際にプロジェクトに携わった方のお話は、決して参考書には書かれていない、現場の苦悩が含まれているのでリアリティがありますね。また、学生は毎回、時間をかけて予習に取り組み、考えに考え抜いた見解を携えて授業に挑むのですが、教員は私たちをさらに広く深い視点へと議論を通じて導いていきます。毎回、自分の考えの浅さに打ちのめされています。
授業では、企業事例が描かれたケースを読み込んだ上で、年齢や職種、役職も異なる仲間と議論するのですが、このグループディスカッションも魅力的です。たとえば、ある製薬会社のケースでは同じグループに実際に製薬会社に勤める人がいました。彼がケースには書かれていない業界特有の事情を例に挙げ「この戦略は実現可能性が低い」と言えば、インターネット業界に詳しい他の仲間は「従来の広告展開では効果が見えない」と自説を展開する。私も会計サイドからの視点を持ち込みます。様々な意見をまとめ最終的にグループで1つの結論を導く作業は、まるで経営会議を疑似体験しているような感覚になりますよ。
出願を検討していた当時は、前職でのM&Aの案件が増えてきており、「本当に通えるだろうか?」という思いが常に頭をよぎっていました。M&Aは急に決まることが多く、翌月の予定も見えませんし、決まれば残業も増えるからです。
ただ、単科生時代に大きな案件が発生したことがあったのですが、振替受講制度を活用することで無事に乗り切ることができました。別の日に同じ内容の授業を受けることができるのは、多忙を極めるビジネスパーソンにとっては、とてもありがたい制度だと思います。また、振替受講は、WEBサイトから簡単に申請できるのでとても便利です。こうした自由度の高い受講システムも、グロービスならではの良さだと思います。
単科生時代は1期に1科目のペースでしたが、本科生になってからは1期に3科目のペースで履修しています。勉強時間を捻出するのが大変ですが、単科生時代に「○○までに、これをやる」というルールを常に自分に課し、自分の限界を広げておいたことが役に立っています。タイムマネジメントを意識するようになってからは「今までなぜこんな無駄なことに時間を割いていたのか」と思える発見がいくつもありました。時間管理に不安のある方は、まずは単科生として学びはじめられることをお勧めします。
「出願するかどうか悩んでいる」という人には、単科生制度を利用して1科目だけでも受講して欲しいですね。「体験してもらえれば、その良さがわかってもらえるはずだ」と思うからです。個人的には『クリティカル・シンキング』の受講をおすすめします。受講当時、私が感じた「頭の蓋をはずして、自分の頭の中を覗き見る感覚」をぜひ体感してほしいと思います。
MBAと聞くと、どうしても「経営学」や「経営者を目指すひとだけが学ぶ学問」といったイメージが思い浮かぶと思います。私もかつては「経営者ではない私には、無縁な存在だ」と考えていた時期がありました。しかし、あらゆるビジネスパーソンにとって、意思決定力や課題解決力、情報分析力は必ず求められる能力です。またこれらの能力は、企業のどのポジション・職種においても、仕事にダイレクトに活きるものだと思います。グロービスでの学びをすすめるごとに、見える世界が変わってくるこの喜びは、きっとやみつきになると思いますよ。
グロービス経営大学院2011年入学、在学中。立教大学経済学部卒業後、公認会計士二次試験に合格し、有限責任監査法人トーマツに入所。法定監査、株式公開支援業務を経て、M&Aに関するアドバイザリー業務及びデューデリジェンス業務に従事。現在はオイシックス株式会社へ転職し、内部監査の立場から事業拡大を支えている。