新商品開発事例 東邦レオ岡崎氏

MBA取得後のキャリアと成果

会社の二つの中核事業を再建し、住宅業界にイノベーションを起こす若き経営者

経営者として、数々の事業再建を実現させた岡崎富夢氏とは。

岡崎 富夢さん

株式会社innovation 代表取締役社長
東邦レオ株式会社 常務取締役事業本部長
岡崎富夢さん(2004年入学 2007年卒業)

※所属企業、肩書きはインタビュー当時のもの

1999年、建築・緑化関連事業を手がける東邦レオ株式会社入社。 1年目最優秀新人賞、3年目で最大手設計事務所の大口契約を獲得。その実績とノウハウをもとに新規開拓営業チームの組成を自ら社長に提案して最年少営業所長に就任、売上を5倍に。2005年同社の主力事業の緑化事業部の事業部長として再建を任され、3年で過去最高業績を達成。2008年にはもうひとつの柱である建築事業部の事業部長に就任。リーマンショックで市場規模が半減する中で、木造住宅に屋根とほぼ同価格で屋上庭園が作れる画期的な商品「プラスワンリビング」、屋上庭園付き木造一戸建て住宅「プラスワンリビングハウス」など新商品を次々と提供し、木造住宅業界に旋風を巻き起こしている。現在、「プラスワンリビング」などの木造住宅向け商品を販売する子会社株式会社innovationを設立して代表取締役社長に就任するとともに、東邦レオ本体の常務取締役事業本部長としてグループ全体の事業戦略を担う。
2006年グロービス・オリジナルMBAプログラム(GDBA)卒業。2011年、企業変革において大きな功績を残した当学卒業生に与えられるグロービス・アルムナイ・アワード変革部門受賞。

弱冠28歳で、主力事業の再建。わずか3年で最高益まで回復させる

入社4年目25歳の時に自ら社長に新規開拓営業チームの組成を提案して、その営業所長になりました。そこで年上の部下を率いていく立場になり、自分は結果を出して示すしかないと必死で働きました。結果として売上は5倍、営業部隊としてはトップになりましたが、事業全体が見えていたわけではないし、事業を仕切れるかと問われるとその自信はない。「ああ、自己流じゃだめだ」と感じ、グロービスに通い始めました。そしてちょうどその頃、これまでの実績が認められ、低迷していた主力事業である緑化事業部の事業部長に抜擢され、再建を任されました。
任された当時、ピーク時には37億あった売上が26億まで低迷していました。若くして事業部長に抜擢されているので、何がなんでも結果をださなければならない。グロービスで学んだことで使えるものは総動員しました。現状を分析すると、競合と戦える商品が無いし、立案されてもいない。しかもメンバーもモチベーションが落ちている。そこで戦略フォーカスを定めて、営業力強化のための体制見直し、新商品開発など、打つべき施策はすべてやりました。でも最初の2年間、とにかく売上が上がらない。こういう仕込みは、結果が出るまでに3年はかかるんです。この結果がでない間は、周囲からのプレッシャーもあり、それはもう、しんどかったですが、ひたすら耐えました。仕込んだ打ち手やマーケティングが効いてきた3年目に業績が上向き、過去最高の40億程度まで回復することができました。

リーマンショックの危機からイノベーションを起こし、新市場の木造住宅業界に旋風を巻き起こす

2008年にもうひとつの柱の事業である建築事業部の事業部長になりました。一番苦しかったのは、忘れもしない2009年に襲いかかったリーマンショックによる業績不振です。経済が冷え込んで、新たな建築の多くが凍結。会社の4割を占める建築事業部の市場規模が1年で半分になり、過去20年で一度も体験したことがないまさに危機的な状況でした。 業績を伸ばさなければ社員の雇用も守れない。なんとかしなければという焦燥感に駆られました。

岡崎 富夢さん

とにかく対策を考え、打てる手はすべて打ちました。そして最後には全員の給与も下げて、なんとか首の皮一枚で生き残りました。しかし翌年になっても、いくら考えても抜本的な打開策が見つからない。今年こそはリストラするしかなく、「もう無理だ」という状況に追い込まれました。そこで、これまでの発想を大きく転換させなければならないことを感じたわけです。「魚がいない釣り堀に針を垂らしても何も釣れない。それならば、過去に縛られずに、新しい市場で新しいすごい商品を作って戦ってやろう」と。

まず、ずっと主戦場だったマンション市場ではなく、木造住宅市場に目を向けました。そこで営業をかけながらニーズを確認していくと、ある営業が聞いてきた顧客の声に目がとまりました。「木造の1戸建に屋上庭園ができないか。」これまでにない発想で、緑化事業部のノウハウと顧客にとっての新たな価値や魅力を考えると、これはすごい商品になりそうだと感じました。すぐに屋上庭園の商品を作り、500万円で売り出してみましたが、全く売れない。そこで、普通の瓦屋根と同じ100万円なら絶対売れるだろうと思い、その壁をどう乗り越えるかを考えていきました。

岡崎 富夢さん

最終的にイメージしたのは、アップルの商品です。例えば携帯電話なら他社のように多くのラインナップを出さずにiPhoneというすごい価値のある商品一本で勝負し、圧倒的な数を売っている。
そして部品の調達先を絞り、大量発注で価格交渉力を強くするなど収益も確保していますよね。それを木造住宅業界で応用しようと考えました。木造住宅では顧客のニーズに合わせてカスタマイズするというのが一般的ですが、屋上庭園という顧客にとってすごい魅力のある商品をパッケージ化し、その商品をたくさん売る。資材・部品などは木造住宅だけでなく、緑化事業部のビル事業の緑化商品とも共通にして、資材業者を絞って大量購入する。さらにこの屋上庭園を他の市場でも展開することも想定する。これらのことを考えに考え抜いて、資材業者の社長を説得に行きました。「1万棟絶対に売ってみせるから、その前提で最初から価格を下げてください。」まだ1棟も売っていない状況で、あの時、信じてくれた資材業者の社長には本当に感謝しています。

そして、屋根と同じ価格の木造住宅の屋上庭園「プラスワンリビング」を引っ提げて木造建築業界に2010年11月に本格参入しました。さらに、屋上庭園だけでなく、木造住宅自体にも参入し、屋上庭園付きの一戸建て木造住宅「プラスワンリビングハウス」を販売し、こちらも爆発的にヒットしています。
結果として、住宅業界では業界1位の大手の販売戸数が年間1万数千戸の中で、弊社のプラスワンリビングは発売から3年で年間2000戸、プラスワンリビングハウスは発売から1年半で月50棟の受注、年間600棟ペースに成長と、老舗の競合が数多くある中で、私達はすごいスピードで業界を塗り換えています。そして、売上は2011年度4月からの1年で7億円、2012年18億円、2013年は30億円となり、この木造住宅事業だけで、東邦レオグループ全体の売上40%、利益の80%を稼ぐ事業に成長しています。

2012年、プラスワンリビング事業を本社から子会社として独立させる形で「株式会社 innovation」を設立し、私が代表取締役社長に就任しました。そして東邦レオ本体の常務取締役事業本部長としてグループ全体の事業戦略も担っています。

私の経営哲学は「すごい商品」を作り続けること

岡崎 富夢さん

経営者において最も大事なことは、私は「すごい商品」を作ることだと思うのです。すごい商品とは理屈抜きにお客さんが見た瞬間、知った瞬間「欲しい」と感じるもの。そして同じ性能なら半分の価格とか、価格が同じで価値は倍であるというような商品のことです。
そのような魅力あるすごい商品を作ることができたなら、あとはマーケティングを実行し、効率の良いオペレーションを構築できれば事業は成長し、利益は出ます。でも、すごい商品では無いものを、営業が無理して売ろうとしても、お客さんも営業も誰も喜ばない。そして会社も利益が出ずに苦しいだけです。これは経営者の責任です。
そういうすごい商品を作るには、競争優位を築けるモデルを作り、競合が追随してきても差を維持し続けることが重要になってきます。経営者の仕事は、突き詰めれば競争優位性のチェックをし、すごい商品を作り続けること、それだけなんです。

グロービスで得たものは、考え尽くすことによって必ず成し遂げられるという「自信」

グロービスで得たもの・・・私なりの言葉で言わせてもらうと、「自信」なんですよ。
企業経営って答えがない、やってみないとわかんないですよね。その中でこのビジネスなら絶対いけるっていう「確信」を持てなければ新しいことはできない。誰が何と言おうと、役員会の全員が絶対に失敗すると言っても、自分が信じることを押し切れるかなんですよ。
その「自信」を持てているのは、粘っこく緻密な分析をして考えられる思考力をグロービスで鍛えられたっていうのが本当に大きいです。

グロービスで学んでいた時期は、最初の再建の時。授業でいろんな会社の事例をみて、すべてはファクトとロジックに基づいてこそ解決できるってわかったんです。つまり、その企業の環境や状況などの事実を正しく認識し、経営のフレームワークを使って分析し、そしてなぜ企業が衰退しているのか、どうすれば成長できるのかを論理的に根拠を持って繰り返し考える。それで、学んだことを事業の再建の実践で使いまくって、成果を確認できる。これがまず自信につながりました。

岡崎 富夢さん

また、第二のリーマンショックで市場が半減した時の再建は、本当の意味で考える力が試されたと思います。もし既存の市場にとらわれて分析し、その範囲の中で打てる手を考えていたら、たぶん成長という道をあきらめ、リストラをし、なんとか生き残る道を選ぶことになっていたでしょう。この時期は本当に追い込まれていたのを覚えています。でもそうはしたくなかった。既存の市場を主戦場にするという前提を疑い、その枠を外して考えることで、プラスワンリビングというすごい商品=イノベーションを生むことができました。これも、結局のところ自分が信じられるところまで考え尽くしたからなんだと思います。でも、なぜそれができたか、それは、どうしても成し遂げたいという私の意志、情熱があったからです。「絶対できる」と思ったし、あきらめなかった。そして、可能性を信じて考え尽くしたからこそ生まれてくる信念、これを持つ人が勝つんだと思います。

今から20年後、グループ全体で1兆円企業の仲間入りをさせることが私のミッションです。私は誰でも強い意志を持てば、人生を変えられる、幸せになれると信じています。そして、これからも自ら努力し、このグロービスで得た、考えれば必ず成し遂げられるという自信を持って、志を実現していきたいと思います。

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