教員からのアドバイス(山中礼二)

山中礼二

教員 山中礼二からのアドバイス

教員 山中礼二からのアドバイス

山中 礼二Yamanaka Reiji

※プロフィールはページ末尾に記載

グロービスでは、ベンチャー系科目の教員を担当。自身のMBA留学を踏まえた体験談、そして専門とするベンチャー領域におけるキャリアやグロービスのMBAの活かし方について、話を聞いた。

キャリアを考える前提として、捉えておくべき環境の変化は?

どのような産業・職種でこれから雇用が膨らみ縮んでいくかの流れをつかむ。

一つ挙げられるのが、「産業のスクラップ&ビルドが加速している」ことだと思います。かつての優良企業・名門企業・大手企業と呼ばれる企業であっても、5年後、10年後にはもう存在していないかもしれない。そのような変化が起こっている中でも、自分がタフに生き残っていけるように計画をしておくことが重要ではないかと思っています。そしてもう一つが、「自分の職種が消える」という可能性があることです。これまでは重要とされていた職種であっても、今後は人手をかけずに自動化・オンライン化していくことが考えられます。私の携わってきた医療分野を例にとると、医薬品の販売、MRの仕事はなくならないと思うのですが、世界的に人手をかけない流れ、オンラインを活用することやより効率化していく方向性に動いていると思います。これは一例ですが、そういう流れをつかみ、少し先の未来を捉えていくことが重要だと思います。まとめると、どのような産業どのような職種で、これから雇用が膨らみ縮んでいくのかという流れをつかむことが、キャリアを考えるにあたって有益だと思います。

どのような工夫をすれば、自分なりにこれからの変化を捉えることができるのでしょうか?また変化を捉えた上で適応していくために、どのような特性・能力が求められるのでしょうか?

社会の先駆けになるような人の動きに注目し、好奇心と学習欲を持って適応していく。

教員 山中礼二からのアドバイス

新聞を読むとか雑誌を読むとか、メディアを通じてマクロ的な産業動向を理解することは重要だと思います。しかし、もっと重要なのは、自分の身近な友人に最近どういう仕事をしているのかの話を聞くことではないでしょうか。聞いたこともないような会社で聞いたこともないような仕事をやって、イキイキと働いている。そのような友人は、メディアが大々的に取り上げる前に、何かしらの変化を捉え動いていることが多いと経験的に思っています。

例えば、新卒の学生が外資系のコンサルティングファームに行く。もう今では当然に思えることかもしれませんが、私が大学を卒業した1995年当時は、ほとんどそういう学生はいなかったんですね。そのような就職先があることが気付かれてもいなかったですし、もちろん選択肢としても挙がらなかった。でも一部、そこに就職した人もいたんです。また優秀な学生・ビジネスパーソンがNPOに就職することや社会起業家になることは、最近では当たり前のように思えますが、私がハーバード・ビジネス・スクールを修了した2003年当時は、かなり人数が少なかったです。私のクラスメートでは一人、Teach For Americaという非営利組織に就職したことを記憶しています。今でこそ全米就職希望ランキング上位のこの組織も、当時は今ほどは知られていませんでした。このように、社会の先駆けになるような人が必ずいると思うので、そこに注目をしてみるのはいいかもしれません。

そしてその先に、変化に適応していくために重要なことがいくつか考えられると思います。一つは自分が今までやったことがないことでも“やってみよう”と思える「好奇心」、もう一つは、ゼロからでも新しいスキルを身につけようとする「学習するマインド・行動様式」でしょうか。特に私はベンチャー関係の仕事に主に携わってきたのですが、ベンチャー企業にフィットする人材は、まさにこのような特性を持っていると思います。新しいものが好きで、やったことがないことでも首を突っ込んでやってみようとする。30代でプログラミングを、40代でデザインをゼロから勉強し始めるというような方も周りにいらっしゃいますし、そのようなことは、もはや珍しくなくなっているのではないかと思います。

そのような背景も踏まえながら、グロービスのMBAはキャリアにどのように役立てていくことができるのでしょうか?

経営(仕事)や人生に対してハングリーな皆さんや、ベンチャーに関心がある・経営の失敗体験がある方にとって貴重な場であると思っています。

教員 山中礼二からのアドバイス

いろんな役立て方があると思うのですが、まず一般論の話をしながら、私はベンチャー関連を専門としているため、そのような切り口でもお伝えしたいと思います。

まず一般論の話ですが「経営(仕事)に対してハングリー」か、あるいは「人生に対してハングリー」か、どちらかのパターンの方にとってグロービスのMBAはかなり役に立つと思います。

経営に対してハングリーというのは、典型的な例えでは、自分は大企業の中にいてマネジメントを直接するような立場では今はないけど、「やればできるんじゃないか」「やってみたい」という気持ちがすごく強くて、渇望心を持っているというタイプの方です。ずっと「座して待つ」というスタイルだと、なかなかマネジメント経験に辿りつかないことが多いので、そこはMBAプログラムで学ぶのが近道だと思います。2013年度に実施したグロービスの卒業生キャリアアンケートでも、マネジメントに参加している役員以上の方のパーセンテージが、入学前は6.6%で卒業後は22.0%。そして自分のキャリアに対して良いインパクトがあったと答えている方が90.1%ということだったので、経営に対してハングリーな人は絶対に経験した方がいいと思いますね。そして人生に対してハングリーであることについて言うと、1回しかない自分の人生を、何かものすごく充実した使い方をして、燃やし切りたいと思っている、でもどういう方向にこれを燃やしたらいいのかわからないという方はたくさんいると思います。そういう方がグロービスのMBAプログラムに通うと、クラスでいろんなケース(企業事例)の主人公に出会い、自分の周りを見渡すと激しい人生の生き方をしている仲間や卒業生がたくさんいるので、刺激されることがたくさんあると思うんですよね。私自身もハーバードMBAに行って、そこで単に金儲けのためにマネジメントをやるのではなくて、難病にかかってしまった自分の子供の命を救うために自分でヘルスケアのベンチャーを立ち上げるんだという人とか、インドの医療の現場があまりにもひどいので、インドの医療機関から検査の仕事を受託する検査受託機関を立ち上げるという人がゴロゴロいる環境に刺激を受けました。そういう、何かしらの刺激を求めている人にとっても、グロービスのMBAは貴重な場になると思います。

そして私の専門であるベンチャーに関しては「ベンチャーの経営に関心がある方」「ベンチャー経営の失敗体験がある方」「大企業からベンチャーにキャリアチェンジをしたい方」が非常にフィットすると思います。まず関心がある方の場合には、ケースを使ってベンチャーの立ち上げを仮想体験できること、学生の身分を活かして色々な人の話を聞いて回ること、将来一緒に起業をする仲間を見つけることができるため有益です。グロービスでは、「ベンチャー戦略」や「ベンチャー・キャピタル&ファイナンス」などベンチャー領域を扱う科目が充実していて、ビジネスプランを作る機会があります。最近の身近な事例ですが、家事代行事業を展開するCaSy(カジー)という会社がありますが、それは「ベンチャー・キャピタル&ファイナンス」のクラスでプランを作成した3名がそのまま起業しました。卒業生がベンチャーを起こす、急激に事業を拡大していくような動きは非常に多くなってきています。一方で事業を失敗した経験のある方の場合、例えば20代で、もう勢いだけでベンチャーを始めて失敗した方などにお勧めです。どうして失敗したのだろうか、ということを客観的に振り返る機会としてMBAプログラムは非常に有益です。特に失敗経験をされている場合は、問題意識が高く一番学びがストンと入りやすいタイミングです。そしてもう一つのパターン、大企業からベンチャーへとキャリアを変え、経営に近い仕事をしたいという方です。これまでの大企業で培った経験・専門性を活かして、さらにベンチャーでダイナミックな活動をしたい、自分の残りのキャリアを燃やしたいという方にとってもMBAプログラムはおすすめです。より経営に近い実務を担うための準備ができ、全てにおいてケースバイケースで判断していくための考える力を鍛えることができます。

最後に教員の立場から、どのようなキャリアを皆さんに歩んで欲しいと思いますか?

人生観にあった歩みで人生を思いっきり爆発させて欲しい。その結果、悔いのない人生を歩んで欲しい。

一言でいうと「悔いの無いキャリア」を歩んで欲しいと思います。「自分にとって幸福なキャリア」とも言い換えられるかもしれません。この2つが非常に重要で、逆に全く重要でないのは、世間から見たときにどう見えるのかとか、キャリアアップ・キャリアダウンというような考え方。私は、キャリアにはアップもダウンもないと思っています。ただ目の前に果てしない地平という人生が広がっていて、その中で自分がまだ行ったことがないけどこの方向に行きたいと思い、見たこともない世界にどんどん歩みを進めていくのがキャリアの本質だと思っています。従って、世間的な評価に基づくアップダウンにこだわらずに、自分の本能を大事にしながら、悔いのない人生、悔いの残らないような仕事を積み重ねていくことが重要なんだと思います。そういった意味では、仕事上のキャリアを考える前に、自分の人生について考える時間を持つことが大切だと思っています。自分にとって人生の目的は何なのか、人生の最大のテーマは何なのか。例えば、自分の人生は何か社会のために使わなければならない、自分の命を燃やし尽くして社会のために何かをやらなければいけないという人生観を持っている人もいれば、自分の幸福が自分の人生の最大のゴールになるという人もいます。あるいは、もっとハングリーでガツガツしていて経済的に成功したい、成功者として見られたいというように、成功をスポーツのように捉え追求する人もいます。私はどれも健全な人生観だと思います。いずれにしても大事なのは、自分がどういう人生観を持っていて、どういう人生を送りたいのかが明らかになっていることだと思います。

私は教員としてベンチャー関連の科目を担当しているので、接することが多いのは「これから起業をしたい」という学生です。そのような学生に対する私の想いは「とにかく成功して欲しい」ということと、繰り返しになりますが「悔いの無い人生を送って欲しい」ということです。その想いは、2011年の震災後、グロービスの卒業生・学生を含む東北で立ち上がっていった起業家を見ながらさらに強くなっていきました。人生は有限である、それを知った中でも思いっきり自分の人生を爆発させる、花開かせようとする。その様子を見ていて、本当に素晴らしくて、感動的で、その花開かせるためのいちスタイルが起業だと気付いたんですね。最も激しく花を開かせる方法の一つなのかもしれない。それがあまりにも素晴らしいので、自分はこの人たちを徹底的に応援していきたいなと、そのために起業家教育に自分の人生を使うことに悔いは無いなと心から思えたのです。そのようなバックグラウンドも踏まえて、皆さんには成功して欲しい、人生を思いっきり爆発させて欲しい、花開かせて欲しい。その結果、悔いの残らない良い人生を送って欲しい。その人の人生観、価値観に合うような形でキャリアを築いて、ぜひ成功し幸せになって欲しいと願っています。

山中礼二プロフィール

一橋大学経済学部卒業。ハーバード・ビジネス・スクール修士課程修了(MBA)(専攻 :Entrepreneurial Management)。キヤノン株式会社で新規事業の企画・戦略的提携に携わった後、2000年にグロービスに参加。グロービス・キャピタル・パートナーズでサービス分野、メディア・コンテンツ分野、及びヘルスケア分野の投資を担当。その後、医療ベンチャーのヘルス・ソリューション(専務取締役COO)、エス・エム・エス(事業開発)を経て、グロービス経営大学院の専任教員。

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